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公益社団法人日本山岳会

YOUTH山_2019.10

ヤマトモ■山と溪谷社/黒尾めぐみさん・新田由里子さん

日本山岳会は、良い出会いを重ねられる場所

初回の会報では、当会に新たに加わったユース世代の素敵な仲間を紹介します。今年8月に入会した黒尾めぐみさんと新田由里子さんは、歴史ある「山と溪谷社」に就職して4年目の同期社員。黒尾さんは雑誌「山と溪谷」の編集者、新田さんは営業担当です。山の文化を世間に発信するお仕事に携わるお二人にインタビューしました。

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——日本山岳会へようこそ! お二人はどんなふうに山と出会ったのですか?

黒尾:明治学院大学のワンダーフォーゲル部出身です。もともと、祖母と父が山に行くのが好きで、奥多摩などの山によく連れていってもらっていました。家の本棚に「山と溪谷」が並んでいるような家だったので、山のことは身近でした。もっと山を知りたいと思って部活に入った大学時代は縦走がメインで、月に1,2回、上州武尊などへ行きましたし、合宿もいい思い出です。

新田:山梨出身なので、山が生活圏だったんです。祖母が山野草を見るが好きで、私もよく一緒に登っていましたね。学生の時は岩手大学の陸上部に所属し、スポーツの世界に疲れたりすると、岩手の山をソロで歩いたりして気分転換していました。そのうちに山歩きが好きになって、ロングトレイルにはまって。裏岩手や信越トレイルなどを歩きました。歩いていると、不思議と悩みが整理されていくんです。そのうちに各国の「歩行文化」を比較するというテーマを卒論にするまでに関心を深めて。山岳信仰が続けられてきた日本、市民が余暇として歩く権利を主張し、フットパスがつくられた英国など、比較文化の視点でトレイルを捉えると日本の特徴が浮かび上がり、面白いんです。

——お二人と同じ20代の若者にも山は人気ですか?

黒尾:山ウェアやギアがおしゃれになっているから、キャンプや軽登山はカルチャーとして楽しまれています。山は登山者だけのものではないし、私は編集者として、そうやって山の入り口に立った人を、もっと豊かな山の世界に誘うような、山の多様性を提案する記事を作りたいと思っています。

新田:友達を山に連れて行ったりして喜んでもらえると、こちらまで嬉しいんです。山の楽しみ方をもっと提案したいです。

——当会にはどんなことを期待していますか?

新田:もっとたくさんの人と知り合いたい! この前、当会の先輩方ともご一緒して、コミュニティに属することのメリットを強く感じています。社会人になってからは、こんなに人脈が次々と広がることを経験したことがありません。座学だと頭に入らない知識も、山の中でのコミュニケーションなら、楽しく覚えることができます。クラブは入った後が大切だと思っていますので、積極的に出会いの機会を得たいです。

黒尾:学生時代は20キロのザックを背負ってひたすら登るばかり。そこにある文化や歴史に目を向ける余裕はありませんでしたが、仕事のおかげもあってようやく学び始めています。私が担当した「山と溪谷」2019年1月号「山の博物館&ビジターセンター24選」という記事で日本山岳会の会員の方にお力添えいただいたのをきっかけに、先日、その先輩方と立山にご一緒させていただきました。様々なことを教えてくださり、例えば三角点ってこんなにたくさんの知見が詰まったものなんだとか、発見がありました。知識と経験をもった人とつながり、学べる。歴史ある会だからこそ、そういう機会を増やすことができるんだと実感しています。今後も出会いを重ねて、仕事でアウトプットできるようにしたいです。

——日本の登山文化を担う版元で頑張っているお二人に期待します!ぜひ一緒に楽しいクラブライフを築き上げていきましょう。ありがとうございました。(聞き手:新井梓)

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YCの支部ルーム訪問記北海道支部

山道具屋隣接! なんと一軒家の支部ルーム

北海道YOUTHとの交流目的で訪れた北海道の拠点とは…

 2019年に始動した北海道YOUTHと本部YOUTHの交流を目的として、本部の野沢副会長と北海道支部の工藤事務局長により、2019年7月13日から7月15日の3日間の日程でコラボレーション登山が企画された。

 今回、本部YOUTHからは8名が参加し、北海道支部の方々と交流を深めた。

 滞在中は北海道支部ルームに宿泊させていただき、ルームを拠点に活動をした。今回の交流の様子とともに北海道支部ルームの紹介をしたい。

これがルーム?

 北海道支部ルームは札幌駅から東南方向、札幌市白石区内にあり、北海道で3店舗営業されている登山・アウトドアショップ「秀岳荘白石店」の裏に建っている。この好立地条件に関して、"山岳会のルームが登山ショップの裏に建っているなんて、北海道支部のために秀岳荘の経営者がこの場所を選んだのかなぁ? 謎……” と勝手な想像をしたりした(じつは、秀岳荘の小野社長が支部ルームのオーナー)。

 レンタカーから降りて目に入ったルームの外観に驚いた。" !! 一軒家? ここがルーム?”そう北海道支部ルームは2階建ての一戸建てなのだ。私が想像するルームとは異なり、アットホームな雰囲気で、友人のお宅に遊びにきたかのような気持ちになった。思わず「おじゃましま〜す」と玄関から中に入った。

 ルームの1階には、リビング・ミーティングスペース(夜は寝床)となる居間・図書室がある。図書室は書籍が綺麗に整理されており、北海道ならではの書籍(北海道の山、ヒグマなど)が目につき興味深かった。2階は和室が1部屋あり、滞在中はここに寝させてもらった。布団も備えてあり快適に過ごさせてもらった。

 それから小野社長と工藤さんお勧めの美味しくてコスパの良い寿司屋で懇親をした。山の話はもちろん、美味しい料理とお酒で会話が弾んだ。なかでも、スタッフを大事にしているという小野社長の話に共感。秀岳荘の魅力を感じると共にお店が賑わっている理由がわかった気がした。

曇り予報の後方羊蹄山

 翌日は曇り。予定通り山に登ることができた。雨には降られなかったものの、山頂付近はガスに覆われ山頂からの景色を見ることはできなかった。しかし、個人的に登りたかった山だったため、今回登ることができてよかった。今度は雪化粧した美しい羊蹄山の斜面にシュプールを描きたいと思う。

 3日目は、観光と秀岳荘でたっぷり買い物をし充実した3日間の締めくくりをすることができた。

 今回の交流を通して、支部同士や支部本部YOUTH双方向での交流が活発化していくことで、山岳会全体の活性化に繋がるのではないかと思った。3日間エスコートをしてくださった工藤さん、ご一緒させていただいた皆さまに感謝します。(斎  陽子)

※メンバー:野沢、岩本、斎、白川、波多野、廣岡、古川、前川

リビング ルーム
図書室 地図

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★★東さんの乱学塾★★

無駄をなくす装備術?

 気が付けば増えてしまう荷物! 山に行くたびに頭を悩ませ、後悔をする。次こそはと固い決意もむなしく、いつも膨れ上がったザックにため息をつく。この循環を断ち来る妙薬を皆様に!

足し算ではなく引き算の発想で

 荷物が多くなる原因は「不安!」「寒いかな、○○も必要」準備で心に響く言葉です。さてどうしましょう?

 妙薬は「調べる」ことと「鍛える」こと。調べるとは、標高1000mで約6℃下がること。この知識を活かすと、次に行く山の気温が何℃になるか見当がつきます。日頃気温を確認して、温度感を鍛えておけば、必要な服装の見当がつき無駄が無くなります。日頃の何気ない習慣が大切ですね。

 さて気温の次に不安になるのは気象。降雨・風などの悪天の予測を行えば、無駄な荷物が減ります。長期の山行はそうはいきませんが、日帰りや短期であれば、SCW(https://supercweather.com/)で予測が可能です。スマホのGPS機能を使うのでリアルタイムで現在位置の天候状態と予報がわかります。

 これら気温・気象に加え、季節・難度・技量の条件を調べ上げて、表に整理して装備計画を立てることをお勧めします。

 加えて、耐寒能力をあげるために、日頃から薄着で過ごす努力も忘れてはならないことです。条件に応じた装備の厳選と自らの努力で荷物を少なくする引き算の発想が軽量化につながります。

*表の作成方法

 ①各分野(衣食住)について必要と考える装備をリストアップ。

 ②気象条件・山のリスク・メンバーの技量を吟味して持参装備を決定する。

装備の工夫

 登山の行程を吟味すると荷物の便利なパッキングの位置が決まります。休憩のたびにザックの中をひっくり返す無計画な人ほど、便利を求める傾向があります。後ろから見れば弁慶。そこに心の粗雑さが見えます。後ろ姿はキリリと行きたいですね。

 そして、なんでも天蓋に入れるのではなく、小物類はチャック付きのシルナイロンのスタッフサックを活用して、ヘッドランプ・救急薬品・タオル・テッシュ等すぐに出したいものとナイフ・スプーン・非常食等必要な時に出したいものに分けて天蓋と本体に分けて入れると、便利で軽量化につながります。雨具を蒸れの少ない素材(e-vent等通気性素材)にすると、防風・防水を兼ねるので、ソフトシェルが不要になります。防寒着はフリースではなく、ダウンやプリマロフトの中綿JKにすると重量は約半分で嵩張りは三分の一程度なります。

 テント泊は気温に応じて寝袋を使い分けるのが一番の軽量化です。特に夏は薄手のダウンJKとシュラフカバー・シュラフシーツの併用など、工夫をすれば400g以下になるでしょう。予備を極力減らすことと、適材適所に工夫を凝らす精神が軽量化の妙薬です。(東 秀訓)

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◉◉軽くしてもいいものといけないもの◉◉

 マイナーエリアはミニマムで、テント泊なら水・食料を除き、2キロ以下。メジャーエリアは、不要でもロープも持参。この違いは、山の師匠 柳澤先生の言葉から。

 「俺は白馬でクレバス滑落事故に出くわしたが何もできなかった。慣れた山、運動靴でロープもなし。己の安全だけを考えていた。手軽だからこそ、他人のまさかに備える心があってもいいではないか。ロープ一つ軽いものだ。何年も山をやりながら、目の前の事故に対処できなかった俺は、今まで何を山から学んできたのか。装備を軽くしても、山に向かうとき思いやりの心は軽くしてはならないのだ。」

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よも山「オーラ」MISA ITO

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