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公益社団法人日本山岳会

赤倉温泉スキーツアー漫遊記

宿の前で妙高を背にして

                          記:関口興洋
期日 令和3年2月3日(木)~6日(土)

参加者 高橋 聰、下河辺史郎、菊池武昭、横田昭夫、三井賢治、山村英彦さん御夫妻、小笠原辰夫、関口興洋、

久しぶりに山想倶楽部の有志による雪遊びプランに合流するため2月3日早朝、小倉駅からJR九州の新幹線(さくら)に乗車、新大阪へ向かう。さくらの指定席は二人掛の立派なシートでグリーン車並みの設備で快適である。
平日であるが1車両の乗客はなんと7人。「のぞみ」に乗れば新大阪での乗り換えなしに名古屋へ直行できるが、ジパング倶楽部の会員割引がないのが欠点。
名古屋駅で長野行きの特急「しなの」に乗り換える時は、いつも名古屋名物の味噌カツ弁当を買っていたが、今回は失敗した。コロナ禍の影響で乗客が少ないのか、ホームの駅弁売り場のシャッターが下ろされていた。あたりを見回すと、うどんとキシメン売り場のみ営業中。仕方なくキシメンで腹ごしらえをして長野へ向かう。この車両の乗客も僅か5人。木曽福島あたりで雪模様になるかと思っていたが、積雪なし。塩尻峠を抜けても松本駅周辺には全く雪がない。篠ノ井線から千曲川越しに菅平、四阿山方面のなだらかな斜面が白く光っている景色を眺めながら長野駅に至る。ここも雪がない。
日本海沿いには昨年末から大雪情報が出ていたのに信州には影響が無かったのだろうかと不思議であった。長野で「しなの鉄道北しなの線」(北陸新幹線の開通に伴い旧信越本線が第三セクターに移行)に乗り換え、妙高高原を目指す。豊野あたりからようやく雪模様となり信越県境から本格的な冬景色となる。
午後3時過ぎ妙高高原駅に到着。北九州から8時間の長旅である。小笠原さんの出迎えを受けユアーズ・インへ。中川さんが代表のころ、一度伺ったことが
あるが、10年以上前のことであろうか。記憶がおぼつかない。
東京の高橋さんグループと岐阜の横田さん達は、杉ノ原スキー場に出かけられているとのこと。皆様の帰館前に温泉で一人ゆったりと旅の疲れを癒す。今夜の夕食は和のフルコースで大変なご馳走である。
胴周りを気にしながら「残したらもったいない」の強い気持ちで全部平らげる。

2月4日(木)曇天
今日の舞台、戸隠スキー場へ行く前に小笠原さんの案内でスキーをレンタル。前回は山スキーの板を使ったが、年を経たプラブーツの安全性を考え、最新の道具を借りることにした。戸隠は懐かしい場所である。1960年代、東京在勤中、ロッジタンネをベースに何度か遊んだ思い出が甦る。小笠原さんにあれが建て
替わったタンネだよと、教えられたが昔の平屋建ての趣のある建物の面影がなく寂しい。戸隠スキー場の駐車場は、平日でも大型バスを含めほぼ満杯。
シニアの一日券を購入し、今年初めてリフトに乗る。リフトを下りてから先行する小笠原さんの後を追うが、1年ぶりの滑走でぎこちない。それでも何とか1本こなす。2本目は別のリフトで上がり、1本目より長いコースを滑る。
標高のせいか赤倉とは気象条件が全く違う。風雪が強くなり、気温もかなり下がっているのが分かる。スキーが固い雪に阻まれ、滑りにくいので慎重に(実態はヨロヨロしながら)滑る。平坦な雪面で強風にあおられて転倒。
フラットな場所で転倒した時は、片足の締め具を解放して立ったほうが楽だよと、高橋さんにアドバイスを貰っていたので早速実行する。一緒のメンバーは早々に下に降りて待機中。気がせくも、とにかく初日なので安全第一に急斜面を回避し、林道をゆっくりと下り合流する。普段の不摂生がたたり、早や大腿四頭筋が悲鳴を上げている。この悪いコンデイションの中で無理に滑ると怪我のもとになると早々に判断し3本目のリフトは見合わせ、近くのお店に入りコーヒーを飲みながら休憩。はるばる九州から来たのに我ながら全く情けないが、現在の体調では無理が利かないので止むを得ない。
12時、昼食場所に指定された「くえい食堂」に集合。名物の天ザルを注文。
仕上がるのにかなり時間がかかったが、さすが戸隠蕎麦。味に納得。
さて、午後、どうするか!! この悪天候の中で続行するかどうか ? ? ?
結論として、残念ながら午後のスキーは中止となり、宿に引き上げることとなった。湯あみした後、夕食までかなり時間がある。自然の成り行きとして高橋さんの部屋(私は同室)に集まり、高橋さんご持参の高級ウイスキーを頂きながらウイスキー談義とともに夕食まで楽しい時間を過ごす。
今夜のメニューは洋食のフルコース。美味しいので完食したが後で反省しきり。

2月5日(金)快晴
食堂から見た妙高山が青空をバックに聳え、昨日とは様変わりの天気に感激。
今日はどこで滑るか、斑尾山などの意見も出たが、隣の池の平スキー場へ行くことになった。小笠原さんに送っていただき、帰りは午後4時にピックアップしてもらうことで一日がスタートした。
かやばゲレンデの緩やかで広大なバーンは平日でもあり、お客が少なく実に快適である。1本目は途中まで揃って下りたが、皆様の脚力に合わせて滑るのがきついので、マイペースで滑ることにした。一番長いリフトの終点(標高1000m程度?)から野尻湖を眼下に東南の志賀高原方面の山並みを眺めながら、途中、休みながら、のんびりと滑るのは実に楽しい。
岩菅、横手などの山座同定を試みるが、一帯は横並びで判然としない。リフトの上から時々、高橋さん、横田さんの華麗な滑りを眺めキャリアが違うなと得心する。
お昼はリフト乗り場に近い「またぎ」に集合。今日はお天気が良いので気分が晴れる。生ビールで高橋さん、横田さんと乾杯。
午後も天気が安定し絶好のコンデイション。昨日とは一変し、本日はリフト券を十二分に活用できた。少し早いが満足して3時に上がり、一人でゆっくりと休憩しながら4時のお迎えを待つ。
夕食が終わったあと、ロビーで持参した「第57回ウエストン祭in上高地と
蝶ケ岳登山」のDVD(製作:北九州支部の伊藤久次郎会員)を小笠原さんに上映してもらう。2003年、平山さんが会長に就任されたときのビデオである。当時、まだお元気であったエーデルワイスクラブ創始者の坂倉登喜子さんがお元気な姿で、クラブの仲間と歌われているシーンや、記念講演をされた小倉薫子さんの若々しい姿など、今やレジェンドとなられた懐かしい人物が次々に登場し
興味深い内容であった。

2月6日(土)快晴
 楽しい時間があっという間に過ぎ、今日は早や最終日となったが、この上天気がもったいない。車で来られた皆様は出発前の車の整備(車上に積もった雪降ろし等等)に忙しい。
この時、突然ハプニングが発生したが、オフレコとします。
 私は横田さんの車に同乗し、多治見まで送って貰うことにして、東京グループとお別れした。東京~岡谷の中央道は昔よく使ったが、伊那谷経由の中央道を走るのは今回が初めてで、お天気も良くルンルン気分である。
 安曇野の盟主たる常念岳のピラミダルな山容が白く輝き実に美しい。
伊那谷を南下するにつれ、中央アルプス、南アルプスの名だたる山々が車窓の右、左に現れ山座同定に忙しくなる。伊那市に入るとギザギザの鋸岳に連なる甲斐駒、隣に仙丈、奥に北岳、間ノ岳へと繫がる光景を目に焼き付ける。
さらに南下すると塩見、荒川、赤石の峰々が視界に入ってくる。横田さんには
申し訳ないが、同乗者の特権で素晴らしい山岳景観に釘付けとなる。
恵那峡SAで昼食休憩。ここで横田さんから中アの木曽駒、空木岳を教えてもらう。ほぼ真北に遠く望む白い大きな山が御嶽山。乗鞍岳方面から眺めると丸みを帯びたずんぐりとした山体であるが、南側から初めて見た御嶽山はなだらかな三角形で美しい姿であり、列車の車中からは望めない新しい発見であった。多治見駅で横田さんとお別れし、JRで名古屋へ向かう。名古屋から新幹線の自由席に乗車したが、これまたガラガラ。伊吹山を眺めながら雪山の世界とお別れする。横田さんのお陰で2時間短縮でき小倉に夕刻到着した。

 肝心なスキー場での交流がないマイペースの記録となりましたが、足に免じてお許しください。中身のない往復の道中記となりました。

(謝辞)高橋さん、オーナーの小笠原さんご夫妻、横田さんには大変お世話に
なり、ありがとうございました。

2021年3月7日記

同好会

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