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公益社団法人日本山岳会

晩秋の明日香観光と大台ケ原・大杉谷山行

石舞台古墳にて

(記)小笠原

【期 日】令和3年11月2日~11月5日

【参加者】石原達夫、高橋 聰、森 武昭、下河邉史郎、横田昭夫、関口興洋、廣島孝子、

藤大路美興、中瀬龍男、斉藤悦子、小笠原辰夫

11月 2日 天候:晴れ

 妙高から参加する私は長野駅より夜行の高速バスで大阪駅に出て、近鉄に乗り換え、集合場所である橿原神宮前東口に向かう。集合時間は12時半なので、1人8時前には到着してしまい、駅西口の橿原神宮と久米寺を参拝し時間をつぶしながら東口に戻る。やがて北九州市から参加の関口さん、埼玉県の朝霞市から今回初参加の藤大路さん、大阪から参加で今回の案内役の中瀬さん、斉藤さんが到着し、其の後予定通り12時半には全員がそろう。

 早速、電動付きアシスト自転車をレンタルし、本日の宿泊場所である「民宿北村」へ向かい、荷物を預けてから自転車で明日香観光に繰り出す。本格的に自転車を漕ぐのは高校の時以来なので、街中を上手く乗れるか多少心配していたが、すっかり気に入ってしまう程難なく乗りこなし、アシスト自転車が1台欲しくなったくらいであった。老人達が連なって自転車を漕いで観光している光景は何とも見ていて楽しい。最初に向かったのは飛鳥寺で、修学旅行の学生達で賑わっていたが、ここに安置されている大仏は、609年に推古天皇が建立した日本最古の仏像との事で初めて見る私は興味深々。日本の歴史の奥深さをいやおうなしに感じてしまう。次に「入鹿の首塚」、「酒船石遺跡」、有名な「石舞台古墳」、「亀石」、「鬼の俎・鬼の雪隠」、「欽明天皇陵、吉備姫王墓」、「猿石」と、まるで東洋の古代ロ―マの様なこの地域の遺跡、名所をめぐり、最後にこのエリア全体が見渡せる「甘樫の丘」に登って夕方5時に宿に戻った。少し足の付け根に自転車漕ぎによる筋肉痛を感じていたが、非常に心地良い感じであった。

  酒船石遺跡、石舞台古墳内部と入り口

11月 3日 天候:晴れ

 レンタル自転車は宿に残し、朝食後直ぐに3台のタクシーで橿原神宮前駅に向かい、近鉄吉野線で大和上市駅へ。そこで9時2分発の1日1便しかない大台ケ原行きのバスに乗る。いよいよ今日から登山が開始されるので胸が高鳴る。終点の大台ケ原の駐車場には10時55分に到着するが、500台以上駐車出来る駐車場は既に満車状態で、途中の大台ケ原ドライブウェイに路上駐車する車が延々と止まっていたのが頷ける。休日とはいえ、この人気の高さに驚かされてしまう。早速、今日の宿泊場所である『心・湯治館』という山小屋に荷物を預け、駐車場のレストランで昼食を済ませてから、大台ケ原のトレッキングに出発する。まずビジターセンターに立ち寄りこのエリアの概念を確認しておく。次に中瀬さんを先頭に、大台ケ原の最高峰である日出ヶ岳に向かう。登山道は良く整備されており何の問題も無いが、頂上手前の急な木製の階段上りは多少息が切れて辛い。流石に最高峰だけあって360度の景色は絶景で、運が良ければ遠く富士山も見える最遠隔地にもなっているのだが、生憎今回遠くは霞んでいて、見ることは出来なかった。山頂で明日下降する大杉谷へのルートを確認してから正木ヶ原、尾鷲辻、神武天皇の銅像が立つ牛石ヶ原、大蛇嵓へと向かう。大蛇嵓の突端にある展望台は、眼下が目も眩むほどの絶壁で、鎖の手すりはあるものの緊張させられる岩稜であった。尾鷲辻まで引き返しそこから大台ケ原の駐車場に向かい夕方4時15分に宿に戻る。山小屋と言っても観光地だけあって、風呂の広さを除けばちょっとした旅館であり、夕食、朝食も普通の旅館と遜色ない。明日はそうもいかないので、今日の夕食では酒も多少多めに飲んでおきたいので幹事にお願いする。

 

大蛇嵓と展望台

11月 4日 天候:晴れ

 いよいよ今回の山行のメインの2日間が始まる。7時の朝食後、8時に宿を出発する。

日出ヶ岳迄は昨日と同じルートである。今日も天候は良く、山頂に立つと太陽の光が伊勢湾を銀盤の様に輝かせており、思わずシャッターを切るが、見た目ほど良く撮れていない事は分かる。

山頂でしばらく休んだ後、8時55分大杉谷への下降を開始する。シャクナゲ平10時13分、堂倉避難小屋11時25分、ここで後続組を待ちながら昼食を取り、12時25分先発組として出発する。堂倉滝13時25分、崩落地15時25分、七つ釜滝15時40分、桃ノ木山の家16時5分着。何と今日の宿泊地の桃ノ木山の家まで、1695mの日出が岳の山頂から標高差で約1200mを一気に下ってきたが、通常の2倍の8時間を要してしまった。後発組がゆっくりだった為ペースを落としたものの、宿に入る時間がぎりぎりで、後発組が更に2時間は遅れてしまうことは間違いなく、宿に迷惑をかけてしまう結果になった。結局後発組は3時間遅れの19時15分の到着であったが、何より全員無事で宿にたどり着けた事は良かった。明日は下山口の標高が180m位で、標高差で僅か300mほどなので今日ほど厳しくは無いと誰もが考え、就寝する。

11月 5日 天候:晴れ

 昨日の疲れは残っていないだろうか?心配しても始まらない。後発組は11時間以上行動したのだから疲れが残っていても不思議ではない。宿の人からは昨日の足取りでは、下山口まで10時間はかかると言われ、危険な箇所も多いので登り返した方が安全と言われ愕然とするが、登り返すなど考えられないので、計画通り下降することにする。6時の朝食を済ませ、全員7時前には宿を出発する。最終日で帰省する為の列車の時間もあるので、先発組と後発組の2班に最初から分かれ、私は列車の時間は関係ないので、後発組を引率することになった。

やはりペースは昨日同様上がらないが、事故を起こさないよう確実に歩いているので問題はない。ただしこの谷の下降はV字渓谷の川床から50mはあるだろう上部に、岸壁をくりぬいて作った非常に狭い道で垂直に切れ落ちており、滑落すれば間違いなく命を落としてしまいかねない危険個所の連続である。そしてもっと悪いことにこのルートは水平ではなく急な登下向の連続でいくら歩いても一向に標高が下がらない。小屋の人が下山口まで10時間はかかると言っていたことがここにきて頷ける。出発してから1時間20分で平等嵓、ニコニコ滝を通過して更に1時間半でシシヶ渕につく。行程の3分の1で3時間以上かかっている。岩のトンネルのクグリという箇所を通過し、しばらくして落差150m以上もある美しい千尋滝を対岸に眺め先を急ぐ。14時5分京良谷通過、15時20分地獄谷通過、15時55分大日嵓通貨、16時10分宮川発電所下山口にやっと到着する。タクシーは連絡を受けてここに来るまで1時間ほどかかるので、私は下山口の衛星公衆電話からタクシーを呼ぶ為、大日嵓から先行し17時にタクシーの予約を入れる。全員が下山できたのは16時50分で、タクシーは17時20分に到着した。ここから約1時間でJR紀勢本線の三瀬谷駅へ向かい、19時7分発の特急で名古屋駅に出る。各々帰省するためここで解散し、今回の山行を無事に終了することが出来たのだった。

私は中央本線で長野に出る予定にしていたが既に列車はなく、名古屋のカプセルホテルで1泊し、翌朝長野に出て妙高高原へ戻った。

 今回の山行は、結論から言えば私にとっては非常に楽しい山行となった。何故なら普段なかなか出来ない自転車を利用しての、歴史のある明日香の観光が出来たことと、一度は行ってみたかった大台ケ原と大杉谷の下降をゆったりと時間をかけて体感できたからです。そして何より全員が無事計画通り全行程をやり遂げたことです。時間がかかりすぎた事は年齢を考えれば仕方がないと思います。体力を考えれば事故が起きても不思議でない中で、長年登山を続けてこられたメンバーの経験が確かな足取りで、慎重な行動をしたからだと思いました。また、この地域の気象条件は不安定と聞いていますが、今回は4日間まったく崩れることもなく幸運であったと思います。これらの幸運はこの度の山行初日に日本の歴史の起源でもある神武天皇が祀られている橿原神宮を参拝し、明日香の遺跡の八百万の神々に手を合わせた事がもたらしてくれたのではと、大した宗教心を持たない私でもその御恩を感じる山行でした。

皆さん、本当に楽しい山行を有難うございました。

  

心・湯治の夕食と館前での集合写真


大台ケ原から大杉谷第4日目                       横田昭夫記

11月5日(金)晴れ(桃ノ木山の家から大杉谷登山口6.2km)

今回の山行もいよいよ最終日となった。天候の特異日11月3日を挟んだ日程とはいえ、四日間とおして快晴という好天気が続くのは珍しいことだ。

昨日の経験から歩く速度にばらつきが出たので、先発組と後発組に分け、余裕をもって行動することとなり、これは先発組の行動記録です。            

日出ヶ岳から標高約1.200mの下降で疲れが出ているので安全を期し、慎重な行動を心がけることとし出発する。

桃ノ木吊橋を渡り左手に不動谷の出合を見て右岸を伝う。加茂助吊橋を渡り平等嵓の絶壁に目を見張る。 長い平等嵓吊橋をゆらゆらと渡りきると対岸にニコニコ滝が見えてきた。 二段50ⅿの高さで落下している。 前面の休憩所で小休止しながら、対岸の滝をしっかり鑑賞する。 この大杉谷はかなりの人気らしく、単独、2~3名あるいは10名くらいのパーティと出会う。 休憩所を後にして10分ほどして河原に出た。

猪(しし)ヶ淵という名勝地である。 両岸絶壁の中に碧く澄んだ水が白い河原に映えるところを横に眺めながら通過する。岩のトンネルをくぐる所は上から落ちてくる水しぶきの中を潜り抜け、左岸の高みを上り下り繰り返しながらたどる。 河原近くの広くなったところで小休止する。 やがて右岸の枝谷から千尋(せんびろ)滝(だき)が透明の玉スダレを掛けた形で落ち、高度は160ⅿといわれ、大杉谷にかかる最大の滝である。

                       

これで大杉谷の名のある滝は終わりということだが、いずれも滝のシブキを被って接近するような滝はなく、遠方から眺める滝がほとんどで、どうしても迫力を感じることはなかった。 その後コースは一旦河原に出て京(きょう)良(ら)谷(だに)の出合に着く。 水位観測所を過ぎ、地獄(じごく)谷(だに)吊橋に続いて能(のう)谷(たに)・大日嵓(だいにちぐら)吊橋を渡り岩壁の道を踏んで宮川第三発電所に着く。 ここから200mほど先の車が待っているところまで歩く。 東屋のある駐車場にはジャンボタクシーが来ており、運転手に訪ねると初めに頼んであったタクシーということで、早速乗り込み、JR紀勢本線の三(み)瀬谷(せだに)駅へ向かう。 三瀬谷駅前には駅があるだけでお店らしきものは無く静まり返っている。 

三瀬谷駅14時21分発の「ワイドビュー南紀6号」で名古屋に向かう。

今日まで案内してくれた、中瀬さん斉藤さんは松阪から近鉄特急で大阪へ帰られた。 

名古屋駅で東京方面へ帰られる石原さん、森さん、廣島さん、藤大路さん達と別れ帰宅した。

          

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