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公益社団法人日本山岳会

世界の名山カメラトレッキング 2017-6 ピレネイ山脈のお花畑を歩く

川井 靖元

花の宝庫ピレネーを最盛期にトレッキング

南フランスとスペインの国境に連なるピレネーの山々の花と新緑を求めて登るアルパインツ アー( 株) が企画するフラワーハイキングにJAPA 会員の金氏と参加した。迫力ある山岳景観に 初夏の高山植物群は、スイスやチロルなどの山より南にあり、他のヨーロッパアルプスには見 られない出逢いに感激した。今回の山旅は尾根や稜線を縦走するのではなく、圏谷やそれに連 なる広い草原を歩き、山麓の村の古い街道宿場町のホテルに泊るゆったりしたツアーとなった。 主要のコースは小さい公国アンドラを出発点に、ピレネー山脈の北側( 南フランス) の巡り、トゥ ルモース圏谷、ガバルニ―圏谷、ビニュマール峰の北壁を眺めるコーブ湖、ピック・デュ・ミディ 北面のアユー湖を登る。ポルタレット峠からスペイン領に入りオルタ谷の大草原巡り、バルセ ロナに下った。

飛行場のない小国アンドラ

大国フランスとスペインに挟まれたピレネー山脈上にある広さ468㎢の立憲君主国である。統 治上では現在フランス大統領とスペインのウイルヘル司教の2 名の共同大公が元首になってい る。主に観光立国で夏冬ヨーロッパ中から沢山の観光客、スポーツ客、買い物客が訪れている。 税金がなく、タックスヘイブンの国としても有名である。首都のアンドラ・ラ・ベシャは静か な町で、初日の夜は時差ボケを癒してくれた。

世界遺産のガバルニー大圏谷とお花畑

高さ1000m 以上の岩壁に囲まれた岩の大円形劇場といわれるガバルニ―圏谷は世界遺産に登 録されたピレネー随一の景観である。渓谷、大滝の下には緑豊かな草原とお花畑が展開する。ツー ル・ド・フランスのコースにもなっているが、古くからヤギや牛の遊牧生活が営まれていたが、 今でも心癒される情景である。岩にへばり付いているムシトリスミレの花と弦は日本の花とは 比較にならない程大きく印象的であった。 

ビニュマール峰、ピック・デュ・ミデイ峰展望ルート

コトゥルの町かポンデスパーニュでチェアリフトに乗り、さらに登山道を登ると高山植物が多 いゴーブ湖、さらに緩やかな谷を登るとピレネー国立公園の最高峰ビニュマール峰(3298m) の 展望テラスに出る。イワタバコやアルペンローゼ、リンドウ、オダマキ、キンポウゲ科の花な ど見事なお花畑が展開する。 

次にピック・デュ・ミデイ峰へのコースは反対側( 西) のビオーザルティギュエ湖を出発点とする。4 時間のフラワーワォチングコースを登るとアユ―湖に出る。正面に見事な独立岩峰ピック・デュ・ミデイ(2884 m ) を仰ぐ。あたり一面にアルペンローゼが咲き乱れている。いずれのコースもフラワートレッキングとして素晴らしかった。

スペイン風尾瀬ヶ原のオタル谷

国境のポルタレット峠を越すとトルラの町に泊まる。これより4 輪駆動の車に乗り換えオルデサ渓谷からビニュマール峰の南西側のオタル谷に入る。広大な草原を歩き、拠水林はないが幾筋もの小川をわたり、2 時間にわたるフラワーハイキングをした。日本の山で言えば尾瀬ヶ原を小さくした湿原である。ここではスイスアルプスより大きいエーデルワイズ、ツリガネニンジン、リンドウ、サクラソウ、オダマキ、大きいアザミなど見られた。

「ピレネーハイキング地図」

世界遺産ガバルニ―大圏谷( フランス)

ゴーブ湖からビニュマール峰をのぞむ( フランス)

ゴーブ湖からビニュマール峰をのぞむ( フランス)

オタル谷の大草原を行く( スペイン)

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