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公益社団法人日本山岳会

会長の挨拶〈令和3年度通常総会〉

2021年6月19日

日本山岳会 令和3年度通常総会

挨 拶

会員の皆様におかれましては、コロナ禍で「日常」を失ったままの一年余り、先進諸外国からは少し出遅れてのワクチン接種がやっと始まりました。しかしながら安心して自由に山に向かうためには、国民の60-70%の接種が終わらないと集団免疫獲得とはならないそうなので、あとわずかな辛抱です。

コロナ後の世界は、一斉に山へ、旅行へ、そしてこれまで延期されてきた行事が一気に開催される華やかな時期を迎えるものだと期待しています。

オリンピックは正式に開催される見込みとなりました。スポーツクライミング競技ではJMSCAの仲間たちが懸命に競技の成功に向けて努力されています。ぜひ私たちも応援していきたいと思います。

この新型コロナウイルスは来年以降もさらなる変異を繰り返して再び不自由な世界が訪れる覚悟も必要かとも思います。今後はインフルエンザのように毎年新しいタイプのワクチンを打つことになるかもしれませんが、この1年で学習したこと、なにが高リスクで何が低リスクなのか、少しづつわかってきた感もあります。専門家の力を借りて賢く山に向かうことも考えていかないと、山がどんどん遠ざかっていくかもしれません。

昨年度は本部もほとんどの支部も行事が縮小、延期、中止となった関係で、予算の執行も歳入も減ったため、決算の数字上は黒字にはなっておりますが、情けない数字となっております。今年度後半からは活発な活動を期待して、また多くの新入会員を迎えたいと思っております。

役員選出に関しては、会員からのいくつかの質問がありました。
委員長と理事との関係については、委員会を運営するのは委員であり、委員長が議事を進めて会務を実行します。理事はガバナンスを利かせた予算執行やコンプライアンスに抵触しないかを判断して指導します。委員会が不活性になった時には、理事が活性化を促し、トラブルが発生したときは理事が調整します。それらの会務内容は理事会で報告します。
理事と委員長、理事と支部長の兼任については、兼任は、利益誘導の懸念があるという理由で、公益法人化以降は、ガバナンス強化の観点から兼任させないという内規がございました。一部修正して、今年度からは支部長および委員長と兼任される理事が就任予定となっています。

現状、年間に数万円~十数万円の年間予算がほとんどの委員会で、理事に就任するために委員長や支部長を交代しなくてはならないことは、委員会や支部活動の活性化を阻害してしまう懸念が出てきたことが理由です。

しかしながら、大きな予算がついている山研委員会やYOUTH CLUB委員会は、担当理事が予算執行チェックのガバナンスを利かせることが重要なので兼任は望ましくありません。

長年議論されやっと名簿が完成しましたがお手にされた会員の皆様におかれましては、役に立っておりますでしょうか? なんだかこの情報量だとあまりねという声も聞こえてきそうですが、新しい個人情報保護法に基づくため、さまざまな問題を解決した結果となっており、皆様のご意見をあつめて、今後は名簿の作成をやるかやらないかの2択になると思います。

パワハラ防止規定については、昨年6月にパワハラ防止法が改正され、当会も規定を設け、相談窓口を設置することになりました。他のスポーツ団体のような競技選手選出に係る力関係は少ないので当会で発生するケースは少ないと思われますが、法的に必要なことなので詳細はホームページをご参照ください。

役員の任期・定年延長を提案しております。一般の組織では、おおむね65歳が定年となっているケースが多いと思います。当会の規定では「就任時70歳をこえないものとする」というちょっとわかりずらい表現となっていましたが、70歳で2年の任期を終えると72歳が定年となっています。JAC会員の平均年齢が69歳であることを考慮すると、一般組織より10歳高い定年齢(75歳)が合理的ではないかとの議論が尽くされ、「就任時73歳を越えないものとする」と3歳の引き上げ、つまり75歳定年を提案しております。

また、役員の任期につきましては、会長の任期のみ、理事就任から最大3任期6年間を可能としています。これは一般理事として1任期2年間を経て会長に就任した場合、これまでは会長は1任期2年間しか就任できませんでしたが、これでは会務の継続性に支障がでかねないという理由で、理事1任期2年間に続けて、会長2任期4年間が可能となる提案をしております。

JAC出版物のデジタル化について、すでに会報「山」と「山岳」については創刊号からすべてPDF化が完了して、だれもがNETで閲覧できるようになりました。海外からも感謝のメッセージが届いております。随時次の作業にとりかかっていきたいと思いますが、支部の出版物にも貴重な情報が多くあることを認識しておりますので、その方法や著作権、個人情報等の扱い方を、デジタルメディア委員会と打ち合わせの上、NET掲載にご協力をお願いしたいと思います。

図書館法に基づく私立図書館設立の件はコロナの影響が長引きまだ進展しておりませんが今年度にはなんとか実現させたいと思っています。

コロナ禍では、山の医師たちは大変多忙な一年だったと思います。これまで、医療委員会等でも、海外高所登山における低酸素のリスクや感染症、高山病の治療やけがの対応など多くのことを学ばせていただきました。海外の高峰をめざす若者が減っていく傾向にありますが、またふたたび海外登山の活性化を推進していきたいと思います。

一方、国内登山では、中高年登山者が登山中に健康リスクや突然死に遭遇することがあり、健康と登山についての議論を深めていければと考えております。健康のために山歩きをしたいと考える登山者は年々増えていっているように思えますが、60歳になった私はあえて、どうしたら80歳過ぎて、いや90歳になっても山歩きができる健康と体力を維持できるのかに興味があります。中高年にさしかかった方々ならひとつやふたつ健康に不安が出てくる頃だと思いますが、長く登山を続けることができるように今のうちに、健康と医療のリテラシーを高めることが登山にも重要なことだと考えていますので、積極的に講習会や講演会を開催したいと思っております。一般の方から「山を登るひとはどうしてこんなに若々しく元気なのか?」と興味を持たれて、登山の啓発を促していければと思います。

2016年に山の日が超党派の国会議員にて国民の休日として制定されました。その先にある大きな動きとして「山岳基本法(仮称)」の制定に向けて国会議員が動き始めました。党派を超えた議員立法を目指していますが、まだどのような方向性が示されるのかはわかりません。私たちJACとしては、法律制定に向けて、国民の民意を集める必要性が出てきました。この法律に何を期待するのか。登山活動を制限する方向には向かってほしくありませんが、これまでJACが築いてきた自然保護の精神を緩めるわけにもいきません。高い理念のもとに、バランスの良い法律制定を期待したいと思います。

最後にJR東海が建設するリニア中央新幹線工事の環境破壊の問題について、静岡支部を中心に市民活動が活発になっております。世論を二分する、政治問題化にも発展しておりますが、当理事会としましては、環境破壊に懸念の表明はするものの、政治には介入しないという創立当初からの理念のもと、推進、反対の意思表明はしないというスタンスをとっております。どうぞご理解くださいますようお願いいたします。

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