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公益社団法人日本山岳会

山歩きをコツコツと続けましょう! 村上和子 第893号

山歩きをコツコツと続けましょう!

村上 和子

骨粗鬆という言葉を聞いたことがあると思いますが、どういうイメージをおもちでしょうか? 意外と身近に起こりつつある骨粗鬆症。これは生活習慣なのによって骨の量が減ってしまい骨の中の状態がスカスカになってしまうこと。ようするにカルシウムの量が減少しすぎて骨がもろくなってしまった状態をいいます。ちょっと咳をしたら肋骨にヒビが入った、身長が2cm縮んだなど、骨粗鬆症の兆候を感じている方は多いかと思います。 では、骨を強くするにはどうしたら良いのでしょうか? カルシウム源になる食物を採らなければならないのは、言うまでもありません。骨は常に骨を作る細胞と骨を壊す細胞とのバランスによって新しい骨を作っています。これを骨代謝というのですが、このバランスがくずれ骨を壊す方が強くなってしまうと、骨はカスカスになってしまいます。これが骨粗鬆症です。 骨代謝で骨を作ることもとても大切なことなのですが、ただカルシウムを取るだけでは、骨は強くなりません。せっかく体が吸収したカルシウムを確実に骨にするのは、まず運動と重力をかけること。まさに山歩きはうってつけなのです。登山家である加藤文太郎氏のようにカルシウム源である煮干しを行動食とするのは、今更ながら素晴らしいと感じます。 それからもう一つ骨を作るのに重要なことがあります、カルシウムは腸管から吸収されますが、その吸収にはビタミンDが必要なのです。ビタミンDは食事から摂取できますが、人間は皮膚で合成させることができます。この合成に必要なのが、太陽の光です。 これらのことを考えると山歩きは骨を強くするのに適していることがおわかりいただけると思います。 骨代謝を高額な注射やお薬に頼ることなく、まず楽しみながら骨を元気にすることは一石二鳥です。 ただ、何事にもほどほどの匙加減が必要です。体を壊すような過度の運動、過度の日焼けには要注意です。自分にあった山歩きをコツコツ、骨々と続ければ楽しく健康維持ができるでしょう。

委員会

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