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公益社団法人日本山岳会

談話会報告 「東南アジアの薬草」 1988年2月

◆談話会「東南アジアの薬草」
1988年(昭和63)2月18日

山岳会ルーム

山口一孝
参加者:  報告:山518(山口一孝)


報告

 当委員会で行なった談話会の内容は、本年2月18日が「東席アジアの薬草」(山口一孝氏)、3月25日が 「登山の行動科学・発想」(千葉重美氏)、「登山の行動科学・遭難のシミュレーション」(小山内正夫氏)、4月16日が「山の航空写真あれこれ」(大森弘一郎氏)で、それぞれルームにおいて開かれた。講演要旨は次のとおり。

東南アジアの薬草 山口一孝

 老後を想い家族と共にネオ シルヴァ ライフをスタートする決意がつきその準備にとりかかったら、数十年忘れていた東南アジアの薬草の抄録の資料と、Kirtikar & Basu:Indian Medicinal Plants(Allahabad,1918)黒田辰一郎=仏印薬用植物(陸軍軍医団,1943)のパンチカード計2020枚に再開した。

私が生薬学のプロの時はこれらの伝承的な薬草から有効成分を取り出し分析して化学構造を決定し、さらに同様またはそれ以上の薬効と、それ以下の副作用を持つ新化合物を合成して医療に供するのが目的であった。ところが同じ資料を久し扱りに抄録し直して気付いたことは薬効の対象に、レプラ、肺病、コレラ、赤痢、腸炎、蛇その他動物の咬傷、寄生虫病、皮膚病、ガン腫瘍、性病、白帯下、通経、だ胎、強壮、強情、催淫、リューマチ、中風、麻疹、牌酔、鎮静、神経障害、健胃、体液調整変質、利胆牌肝、利尿などが実に多いことで、改めて熱帯の自然と環境に活きる庶民の知恵と体臭と悲願をひしひしと感じとること、かできた。彼等こそ生薬学の先生である。

 しかしもしもわれわれがジャングルでコブラに咬まれた時は、伝承の薬草に頼るよりもその血清を求めることが急務であることを書き副え詑足とする。

(山口一孝)

山518 (1988/8月号)

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