メニュー

公益社団法人日本山岳会

講演会報告 「飯豊の高山植物」 1991年11月

◆講演会「飯豊の高山植物」
1991年(平成3)11月22日

山岳会ルーム

講師:小岩井実
参加者:44名 報告:山561-1992(中村あや)


報告

 11月22日夜ルームにおいて、会津の小荒井実先生をお迎えして、飯豊の高山植物の講演会が開かれた。小荒井先生には昨年7月科学研究委員会が行なった植物探索山行の講師として駒止湿原と湯の花温泉でお話を頂き、大変好評であった。その折委員会がお世話になった福島支部の笹川正一慶子会員も、銘酒持参で聴講に見え盛会となった。

 ブローニー版スライドで、大きなスクリーンに映し出された写真は迫力十分であった。最初は霧に浮かぶ磐梯山や、真黄色にひろがる雄国沼のニッコウキスゲ、雪が陽に解け再び凍って輝くサンクラストの浅草岳など、続いて紅葉や雪に覆われた雄大な飯豊連峰の峰々が紹介された。春を告げる福寿草やニリンソウの大群落、飯豊周辺にしか見られないヒメサユリ、またシラネアオイ、アイヅシモツケ、ムラサキヤシオ、ヨツバシオガマ、チングルマ、イイデリンドウ、などつぎつぎに美しい花が現れ嘆声が上がる。また、日の出のときとは別に、日の出の20分も前に太陽の光が上空の薄い雲の反射してできるモルゲンロートの山、あるいは日没後の僅かな時間、真っ赤な空に浮かび上がる佐渡の山々、天空にかかる七色の虹、二重の虹、ヤコブの梯子と呼ばれる雲間からさしこむ光芒など、季節や時刻、気象等によって起こるその瞬間の自然現象が捉えられて私たちを魅了した。雲海や山肌を覆う霧氷、イタヤモミジ、オオモミジ、カツラ等の色鮮やかな紅葉や天然の杉、原生林の美しさもよくうつされている。

 原生林では絶対起こらないという二次林の虫害、葉をすべて喰いつくされた一面の枯木林は凄じいばかりであった。昔、山に現れる雪形を見て里人は農作業の目安とした。そのいろいろな雪形の写真もあったが、今はそれを利用することもなくなり、その形を捉えられなくなってきているという。

 草鞋塚は本山に登るとき新しい草鞋に履き替え、下山時には草鞋に付いた山の土を落としたところで、その名がつけられたのが、山を崇めた人々の心がうかがえる。草木の命も尊んで、その霊を祀るため草木塔を建て、山の木を伐るにも山の神に祈りを捧げたという、自然と一体になった昔の人々の心を私達は改めて思い起こす必要がありそうだ。まだ比較的人の手の加えられていない飯豊の自然は、この際是非守っていかねばならないと思った。

 先生ご持参の地酒「姫さゆり」を味わいつつ、ユーモアあふれるお話を伺い、一同満足して散会した。

参加者(順不動) 高井やす子、小川和子、佐藤正、山田格、高橋詢、津田和巳、遠藤泰考、中世古隆司、鳥居亮、近藤雅是、高遠宏、大友裕美、高木康雄、増田達治、中村純二、中村あや、北野忠彦、大森弘一郎、平戸孝夫、岡野修、奥山巌、鴫原一男、笹川慶子、荒野康子、茂木洋子、石井美恵子、石田要久、白鳥勝治、岩瀬正子、松丸秀夫、徳久球雄、山崎照男、奥野道治、斉藤かつら、南井英弘、岩堀瑞子、中村小一郎、加治川栄二、松下肇、中川武、木村カズミ、大蔵喜福、梅野淑子、森武昭

(中村あや)

山561(1992/2月号)

pagetop