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公益社団法人日本山岳会

夏山気象入門講座2報告 「山の気象と天気図の見方」 1997年5月

夏山気象入門講座2「山の気象と天気図の見方」
1997年(平成9) 5月29日

山岳会ルーム 

講師:奥山 巌(日本気象協会)
報告:山627(奥山 巌)


報告

1、気圧配置による天気の違い

 山の天気は基本的には気圧配置による天気パターンに、山そのものの地形効果がプラスされる。すなわち(山の天気=気圧配置による天気地形効果)である。

 具体的には低気圧が日本海側にあるか太平洋側にあるか、高気圧の中心が山のどちら側にあるかによって吹く風や気温、水蒸気量が違ってくる。また山の位置が日本海側か太平洋側か内陸にあるかによっても、天気の影響は異なる。

 さらに、分かりやすく冬型を例にとっていうなら、日本海側の山は冷たく湿った北西風が直接ぶつかるので雪だが、内陸、太平洋側へと進むにつれて、途中で水蒸気を減少させるので、天気は次第によくなってゆく。富士山や箱根では、気圧の谷や前線の通過が重ならない限り、雪は降りにくい。

2、悪天の前兆

南岸低気圧接近
 まず巻雲が現れ、続いて薄い膜状の巻層雲、さらに厚みをまして高層雲、そして乱層雲となって雨が降り出す。上層雲が現れるのは大気が崩れる半日から一日前。また風上の山に笠雲がかかるのも悪天の前兆。

寒冷前線接近
 雲が巻雲から巻層雲に変化した後、急に積雲が発達し出す。自分のいる山より風上の北西方の山が雲に包まれてきたら、間の谷は晴れていても谷を飛び越して、こちらの山のほうが急にガスが吹き上がり、雲が多くなってくる。そしてにわか雨や場合によっては雷が鳴り出す。


 朝、異常に空気が澄んでいるとき(上層寒気)や、逆に空気が濁って湿気が多い感じ(下屑暖気)は、いずれも要注意。

 雷三日の諺通り、前日の午後雷があったと山小屋の人が言っていたら、今日も、あるいは明日も午後は雷があると考えたほうがよい(夏は上層寒気の動きが遅いから)。とくに上層冷渦といって、寒気の塊が南下してくるときは、その寒気の南東側では強い雷が起こりやすい。

台風
 秋台風は本州南海上を北上後、北東進し加速するコースを取ることが多いが、夏は進行方向がよく変わり、動きも遅い(迷走型)。台風が接近するときは、南海上に現れる台風外側の層状の雲の動きに注意すること。
また山での風向きの変化にも注目すること。北よりの風が南、南西と変わったら、台風は自分のいる山の西側を通って日本海へ向かう。また北東風に変わるようなら、自分のいる山の南側、本州南海上を北東進しそうである。

3、低気圧と台風の構造の違い

 低気圧は極方面からの上層寒気の南下(下降流)と、本州南海上方面からの下層暖気の北上(上昇流)とが結び付いたところで発達が起こる。
低気圧上空の風は北西側に寒気、南東側に暖気がある構造が普通なので、そのときは上層ほど風が強くなる。
また低気圧中心部の風は、台風ほどの暴風とはならないが、強風(>15m/s)域の範囲は台風より大きい。

 台風のほうは、日本のはるか南海上の海面水温の高い海域で発生する。
海面水温が26~27度以上あるときは積乱雲群が発達し、その積乱雲群を通して下層の暖気が上層に運ばれ、上層では温められた空気が強い上層発散を起こす。この強い上層発散が下層に強い収束と回転を生じさせて台風を発達させる。台風の発達につれ、中心付近は猛烈な暴風となる。しかし暴風雨範囲は割合狭いので、台風の動きが順調なら、暴風雨の時間もそれほど長くはない。

 また台風上空の風は、地表摩擦層上部に当たる1000メートル付近が最も強く、それより上はかえって弱くなっている。

(奥山 巖)

山627-1997/8

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