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公益社団法人日本山岳会

講演会報告 「夏山気象入門」 1998年7月

◆講演会「夏山気象入門」
山岳会ルーム
1998年(平成10) 7月16日

講師:奥山巌
参加者27名 報告:山640(平野 彰)


報告

 7月16日18時30~20時10分、日本気象協会の奥山巌氏(本会会員)の「夏山気象入門」講座がルームで開かれた。その要旨を報告する。出席者27名。
梅雨  梅雨ははじめは本州南岸沿いに停滞し、北側はオホーツク海高気圧のため低温、ぐずつき型となる。

 後半には、前線は西日本では北上、東日本はまだ南岸沿いにあるが時々北上する。北上すると高温多湿の空気が入り雨も多い。

 関東地方は北東の冷たい空気が入り、低い雲に覆われることがある。
雲頂は低いので高い山の上は快晴である。山の風下のあたる山梨県は天気は割合よい。中ア、南アなどは雲に包まれてにわか雨が降るが、関東内陸は降りにくい。

夏型梅雨明けには前線が北上し、太平洋高気圧が西日本から張り出して順次東へ広がる型と、前線が南下して北の冷たい高気圧が南下し、はじめは割合涼しい型とがある。梅雨明け十日といわれるように、梅雨明け後の一週間は夏型が続く。この太平洋高気圧にスッポリ覆われる期間が夏山シーズン。登山に絶好の時である。

台風  台風は、海面水温27度C以上の海域で発生発達する。太平洋高気圧がしっかりしている時はその周辺に沿って動くが、高気圧が弱かったり分裂していたりすると迷走型となる。風は低気圧では上空ほど強いが、台風では大体1000メートル前後がもっとも強い。

 台風が近づいて北から北東の風が次第に強まる時は台風は自分のいる山へ近づいているか、その南方を北東進、北→南→南西→北西へと変化する時は、山の西から北側に向かって北東進している。南→南西風となるにつれて風はもっとも強くなる。
上陸すると風は弱まるが、熱帯気団の水蒸気が南側斜面で地形上昇を起こすので、南斜面を中心に大雨となる。

雷雨  雷は上層寒気の南下、下層暖気の北上、または両者が重なったような大気が不安定な時に起こる。

 山の朝、空気が異常に澄んでいる時がある。これは上層に寒気があり、朝のうちは寒気が沈降しているためで、午後に雷が起こりやすい。日が昇るにつれてガスが吹き上がり、昼ごろには山頂は積雲や積乱雲の中となる。

 午後遅くから宵のうちが雷が起こりやすい(夕立型、熱雷)が、寒冷前線の通過や寒気を伴った気圧の谷の通過では夜でも明け方でも起こる(前線通過型、界雷)。寒冷前線通過型では前線の動きからある程度時刻を予想できるし、時間も割合短時間である。

 強い上層寒気を待った上層寒気渦、上層の気圧の谷接近の時は、積乱雲が群れをなし雷が続くことがある。
雷雲は上昇気流の起こりやすい山岳部でまず発生し、上層風に乗って風下へ降りてくる。風の弱い時、関東では、秩父→荒川沿い、群馬→利根川沿い、栃木→茨城のように地形的障害の少ないところへと動く。

 雷三日といわれるように前日雷があったら、今日も、あるいは明日もあると考えたほうがよい。

秋型  前線が南下し停滞するようになると、一挙に秋となる。台風は本州南海上を北東進しやすくなり、低気圧も発達する。天気も短く周期変化する。     

(平野彰)

山640-1998/9

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