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公益社団法人日本山岳会

講演会報告 「夏山の気象」 2003年7月

◆講演会「夏山の気象」
2003年(平成15) 7月3日
山岳会ルーム

講師:城所邦夫会員(山岳気象アドバイザー・元日本気象協会)
例年行われている、夏山を前にした気象講座が開催された。
報告:山700(箕岡三穂)


報告

 梅雨あけの待遠しい季節である。7月3日、例年の如く山岳会ル-ムにおいて、「夏山の気象」の講演会が開催された。 講師はおなじみの城所邦夫会員(山岳気象アドバイザ-)、山岳気象の大ベテランである。

 今年のテ-マは二つ。
 最初は夏山の気温について話された。 理論的には、標高100mにつき0.6度気温は下降する(気温の減率)。したがって、3000m級の稜線の気温は、平地より18度低いことになる。しかし、実際には日照のあるときは山体自体が温まり、また登山者の行動による発熱もあって、体感的には暑いと感じる。 
 ところが一旦天気が崩れ始めて風が吹くと、稜線の気温は理論値に下がり、さらに加えて風速1mについて1度体感温度が下降する。 雨で濡れたりすると、夏山でも疲労凍死という事態が起こりうることを示唆された。

 次には、夏季の日本列島の天候を支配する、太平洋高気圧の張り出し型について説明された。
1.太平洋高気圧が本州南方海上に張り出すとき(南方海上型)。
 この年には表日本は好天になり、台風も接近しにくい。反面、北日本、裏日本では前線の影響を受けて天候が安定しない。 雷雨の発生も多くなる。

2.太平洋高気圧が日本上空をおおうとき(日本上空型)。
 この年には日本列島全体が猛暑の晴天となる。台風も接近しないが、局地的には激しい雷雨が発生する。

3.太平洋高気圧が日本海方面に北上するとき(北日本上空型)。
 この年には冷夏となり、台風や熱帯低気圧の接近、上陸頻度が多くなる。全般的には不安定な天候になる。
 その後、昨年夏、北ア白馬山荘天気相談所で登山者のお天気相談に従事した実例についてお話頂いた。夏山の季節を迎えるに際して、得るところの多い講演会であった。

(科学委員会 箕岡三穂 記)

山700-2003/9

委員会

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