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公益社団法人日本山岳会

講演会報告 「気象講座:異常気象」 2004年7月

◆講演会「気象講座:異常気象」
2004年(平成16) 7月15日(木)
山岳会ルーム

講師:城所邦夫会員(元日本気象協会)
報告:山712(北野忠彦)


報告

 7月15日、元気象協会・城所邦夫会員による、異常気象の講座が開かれた。

1.異常気象とは
 
 一般には過去に経験した気象現象から大きく外れた現象をいう。 気象 庁では世界気象機関の規定に従い、「30年に一度またはそれより稀にしかない気象」あるいは「社会に大きな影響を与えた気象」という2種類の基準で判定をおこなっている。
異常気象は次の3つに大別される。

① 短期間に社会や人名に重大な影響を及ぼす気象現象で、台風などによる強風、大雨、洪水、土砂崩壊、構造物倒壊、晩霜による農業災害などが含まれる。

② 1ヶ月以上にわたって平年より著しく偏った天候。気象の平均値は過去30年間の平均であるので、過去30年以上にわたって観測されなかった異常天候。

③ 月々の天候は平年からわずかしか偏っていないが、何ヶ月も同じ状態が続いて被害が生じた場合。

2.最近の異常気象と気候変動
 
 最近は世界各地で異常高温、異常多雨が増加しているが、日本では異常多雨は減少、異常少雨が増加している。
 地上気温は過去100年間に世界全体で約0.6℃上昇、日本では約1℃上昇した。また観測史上記録的な高温状態が続いている。

 降水量は世界的に増加しており、特にヨーロッパや北アジアの冬の降水量の増加が著しい。
 海洋の表面温度は上昇している。オゾン量は低緯度域を除いて減少、南極のオゾンホールは毎年のように大規模に発生している。 これらの減少には、二酸化炭素の増加に伴う地球温暖化や数十年程度の時間規模で繰り返される自然変動、さらにエルニーニョ現象などが関与しているとおもわれる。

 二酸化炭素の排出が継続すると、100年後には地球気温は1℃から3.5℃上昇、特に北半球高緯度の大陸で昇温が大きい。海水面は平均15㌢から95㌢上昇する。

3.異常気象をもたらす主な要因

①ラニーニャとエルニーニョ
 南米ペルー沖の表面水温が低くなるラニーニャでは、西部熱帯太平洋地域で大気の活発な対流活動が見られ、日本では高温、少雨の傾向になる。
 ペルー沖の表面水温が高くなるエルニーニョでは活発な対流活動は日付変更線近くまで東に移動し、夏季の太平洋高気圧を弱め、不順な天候となり、台風の発生が多く接近も多くなる。

②日本付近の上層の風
オホーツク海付近に冷たい低気圧、東シナ海付近に温かい高気圧が長期間にわたって存在すると北日本では冷夏、西日本では旱魃、北陸から東北南部にかけて不連続線の活動が活発となり各地で大雨が続く。上層の風が日本列島付近で大きく蛇行すると気圧配置の動きが鈍り、地上に停滞前線が留まるなど、異常気象となりやすい。

4.最近の日本の異常気象

 東京の4月の月平均気温、平均最高気温とも過去最高。4月末には各地で真夏日となった。
 5月の平均気温は全国的に平均を上回り、東京では真夏日が初めて3回あった。 
 6月の月平均気温は全国32地点で観測史上最高を更新。
 6月の台風は5個で、観測史上もっとも多かった。

 以上、「異常気象」の概要とその要因、近年の気候変動の状況について話を伺ったが、最近の新潟、福井の豪雨、東京での史上最高の真夏日と「超熱帯夜」などが頻発する気象現象に、異常気象現象が恒常化していると思われ、地球環境の将来に深く憂いを感じたことであった。

                                      (北野 忠彦)
山712-2004/9

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