◆研修山行 「岩殿山の岸壁、猿橋溶岩観察」
実施日:2020年11月29日(日)
場所:山梨県岩殿山、桂川、猿橋
目的:桂川、岩殿山、猿橋を巡り、岩殿山礫岩層、猿橋溶岩流を観察する
参加者:坂井/平野/伊藤/石田/松浦/西村/福岡/末廣/稲垣/米倉/下田/鴨志田/町澤/木曽/松本(博)/中場/浅田(埼玉支部 )の17名
講師:中野 俊会員、福岡委員
岩殿山の岸壁、猿橋溶岩観察
2020年11月29日、科学委員会の研修山行を開催。講師2人を含め16名の参加の下に大月、猿橋等の河岸段丘の上に発達した町を歩き地域の地質・地形を学び岩殿山の礫岩、猿橋溶岩流の流れを検証するのが目的だった。大月駅~桂川高月橋下「象の鼻」~岩殿山~鬼の岩屋~猿橋~猿橋駅の行程とした。大月駅より国道139号の高月橋へ向かう。途中、岩殿山を望める空き地で早速、礫岩層、大月周辺地域の地質や地形について福岡、中野両講師からの説明を受ける。礫岩層の存在は岩殿山がかつて陸に近い海底にあり、プレートの動きにより隆起して垂直の壁(断層崖)が生じた。高月橋から桂川に下り「象の鼻」の前で中野講師から富士山の溶岩流の流れについて地質図を用いて説明を受け、猿橋溶岩流、桂川溶岩流の位置と時代の違いを学ぶ。国道139号に戻り、畑倉登山口まで歩き岩殿山登山を開始。礫岩が露出した登山道を登り最後の鎖場を経て頂上に到着、烽火台(634m)で昼食とする。福岡講師からプリントを参考に富士山の湧水の水質(リンとバナジウム)について解説があった。河川水中のリン濃度は水質汚染の指標である。横浜市は水道水源の相模川のリン濃度が高いことに注目。その原因は水源の富士山の湧水にあることが分かった。富士山の人的汚染による可能性もあるが、富士山の岩石そのもののリン濃度が高いことによると解釈されている。富士山の湧水がバナジウムを含むとしてペットボトルで販売されている。このバナジウムも富士山の岩石起源である。バナジウムが注目される理由は血糖値の高いネズミにバナジウムを与えると、血糖値が下がるので、糖尿病の予防に効果があるとの考えに基づいているが、富士山麓の居住者に糖尿病が少ないという統計は出ていない、とのこと。
荷物を置いたまま見晴台まで降り河岸段丘の上に成り立つ大月や猿橋の街を眺めながら福岡講師の河岸段丘の成因についての話を聞く。下山途中、ガマの口の様な鬼の岩屋の洞窟に立ち寄ってから日本3奇橋の一つである猿橋まで歩く。桂川の31mの谷にかかる橋脚のない橋で4層のはね木で両岸から支えられている。一部の参加者は橋の前の猿橋名物である木の実せんべいやサンショウ味噌せんべいを購入後、駅まで歩く。駅構内で無事終了できた研修山行の閉講式を行いそれぞれの帰路についた。福岡委員、中野会員のお二人には懇切丁寧なご解説を頂きとても有意義な研修山行となり感謝しております。有難うございました。
伊藤謙二
岩殿山山頂
鬼の岩屋洞窟
山頂から河岸段丘上の大月、猿橋の町並みを見る