沼越え峠(鉾峠)国土地理院二万五千分の一地形図点で!
令和5年6月24日~25日 CL:多田政雄 他:6名
沼越峠は鉾峠とも言われており阿賀町柴倉集落から福島県金山町中川集落上田ダムまでの間で、現在は東北電力の送電線に沿った峠道となっている。支部会員の羽賀一蔵著 ”越後佐渡の峠を歩く” によれば、「この峠は昔只見川・阿賀野川で材木筏を津川まで流し下り、その上乗りの人たちが只見へ帰るときに使った峠道でもあった」塩や魚や米なども行き来したと思われる。
24日津川の麒麟山公園にテント3張り設営する(キャンプ可能で無料)午後2時に阿賀町役場に車3台で集合して明日の下山口になる上田ダムに向かう。R49で野沢よりR400会津西方よりR252を通り中川集落の上田ダムまで行くダムを渡り空き地に車2台駐車して1台で戻る。上田ダムから見える峠からの尾根は結構急勾配である。麒麟山公園で前泊者6人が集合して支部恒例の天気祭りを厳かに行う、星空が美しく明日は晴れだろう! 9時就寝。
25日4時半に起床。常浪川に霧がかかるが、雨ではないのでまずまずの天気である。6時過ぎに阿賀町役場へゆき、当日参加の2名を迎え6時半に柴倉集落へ向かう。
集落の人の許可を得て最初のゲートを通り、すぐに営林署ゲート前の空き地に2台駐車する。7時40分に曇り空の下、林道を歩き始める。鶯ものどかに鳴き、両側には湿った蕗が美味しそうに生えている。蒸し暑い中を栃倉山裾の林道をくねくね一時間弱で林道最高点に着く。御前ヶ遊窟、井戸小屋山や柴倉集落方面の見晴らしが良い、直ぐに林道終点になり電力保全の為に刈り払いされたばかりの山道を下ると、保全小屋があり小休憩する(電力保全用の小屋であり一般には解放されていないので注意)小屋からは緑が眩しいブナ林の下りとなる、時々涼しい風が通り抜け気持ち良い、一時間弱で柴倉沢の渡渉点迄下る。
水量は少なくイワナが数匹素早く隠れる、皆さん難なく渡り切りこれからの急登に備えてエネルギーを補給する、なかなかハードな登りが300m程続き尾根の端631m地点に漸くたどり着く。尾根の上に出ると南側に曲がり右側に西沢を経て菅倉山の八人岩の大岩壁が見えてくる。地形図にも名前がある物凄く大きな迫力満点の岩場である。日が照りつけて暑くなるが831m地点の鉄塔から振り返ると対岸の歩いてきた電力小屋やルートがハッキリ見える。そこから少し登ると福島と新潟の県境に着き左側に向かい、60m程下り747mの鞍部沼越峠(鉾峠)に着く、何の目印や標識もなく普通通り過ぎてしまう様な鞍部だ、然し国土地理院二万五千にはハッキリと沼越峠(鉾峠)と表示されている。
後で調べたら昭和46年の五万の地形図では我々が渡渉した柴倉沢を上流に沿って歩きこの鞍部に出るルートが載っていた。
この鞍部から50m程登り返すと県境稜線と上田ダム方面の分岐点に出る。12時に着く。ここには祠が祭ってあった。その前に小さな広場もあり旅人は景色の良いここで休憩しただろうと思われる。
ここが本当の峠のような気がする。北方面には飯豊連峰が雄大な姿を見せている。県境稜線西方面は沼ノ峠山と談合峰、鍋倉山と続き東方面には、これから向かう国土山や高陽山と木地夜鷹山と続く。広場の日差しの暑い中で昼食を食べて12時30分国土山に向かう、最初は薮だが少し行くと杉の巨木が多くなり踏み跡がハッキリしてくる、30分弱で薮の中で三等三角点858.3mに着くがまったく展望は望めず枝をかき分けて三角点を中心に記念写真を撮る。
往路を峠まで戻り上田ダム側に下山する。すぐに電力保全小屋があるがここも中には入れない。ブナ林が伐採されて道の両側には伸びすぎた蕨が出ており、良さそうな物を手折り晩酌用にする、ブナ林に入り吹き抜ける涼しい風が心地よい。
秋には一面のススキが、逆光に輝き、只見川から湧き上がる雲海が素晴らしい所だ。上田ダムが美しく望まれるが23番鉄塔からは急な下りとなり注意が必要だ。
急な尾根を下りきると北の湖沢を吊り橋で渡り、直ぐにダムの空き地に止めた車の場所に出る。遠藤家之進さんが冷たいドリンク持参で待機して呉れました。渇ききった体にしみわたり物凄く美味しく頂きました。ありがとうございました! 登って下って登って下って結構キツイ峠であり、昔の人は凄かったとつくづく思わされた峠越えでした。
参加された皆さん大変ご苦労様でした。
記 多田 政雄