メニュー

公益社団法人日本山岳会

飯豊連峰 長走川~逆さ尾根~烏帽子山 単独日帰り

 2024/5/18良く晴れた日、長走川を詰めて逆さ尾根に乗り烏帽子山に登ってきた。5/15に長走川のルート取りと逆さ尾根の状態を予め確認してからの実行となった。烏帽子山は蒜場山から稜線を辿る残雪期のルート、飯豊川を渡渉しオオサンカイ尾根から二つ倉、北峰経由で辿るルート、裏川の要所口を渡渉し焼曽根山経由にて尾根を詰めるルートに次ぎ4度目の踏査となる。    多田 和広 記

烏帽子の三角点から大日岳

            烏帽子山の三角点と飯豊連峰

水沢集落から伸びる悪路の林道を長走川までゆっくりと自動車で移動する。峠は福島側に大段山、新潟側にビールのカッチ経由で棒掛山がある。時刻は夜中の2時半、土砂崩れした林道終点からウェーダーを装着し長走川に平行につけられた踏み跡を歩き始める。出合まで登山靴はリュックの中へ。釣り師によってよく踏まれた林道は思いのほか歩き易く、長走川へはすんなりと降りられた。雪解け水は一段落し水量も少ない為、ゴルジュ2か所の高巻き以外は沢床をざぶざぶ歩き、逆さ尾根末端である白滝沢出合まで容易にたどり着く。白滝沢出合は比較的穏やかな表情でここでウエダーから登山靴に履き替える。ウェーダーはお留守番とし出合の岩の上で乾燥してもらうことにした。 末端は岩の多い急登でシャクナゲが煩わしくまとわりつくものの踏み跡は細尾根の為非常に強く残る。やがてシャクナゲが消えるころには松林に変わり歩はさらに進む。ブナの木に漸くひとつ鉈目を見つけた。大正と読めるが果たして良く登られていたのか、枝を折った形跡が見受けられたがマタギが使うには尾根は細く見渡しも利かないため利用価値がないようにも思うが、、、。

 しばらく歩き標高にして200m登ると左側から水音が聞こえてくる、脇沢の滝だ。この日は暑くはあったが気持ちの良い冷たい風が時折吹き、藪漕ぎをして汗まみれになった体にはご褒美に感じられた。833.8mの三角点のあるピークを超え標高が900mを過ぎれば尾根は広くなり踏み跡も四散する。やや時期的に早かったおかげだろうか、ところどころ雪の消え終わったばかりの低木類には緑の海となる若葉が芽吹き始めたばかりで見晴らしが利いた場所もあり、近づく烏帽子をあとどのくらいだろうかと何回も見上げた。地面の咲き始めのカタクリが癒してくれる。

焼曽根山からの尾根に合流する頃には笹が植生ヒエラルキーの頂点立つ。オオサンカイ側に生えている笹とは違い腕でかきわけることが出来、地面を歩く感覚を残せる。かきわけた先には牛首山、西大日岳、薬師岳、実川山と残雪豊富な飯豊の山々が見えてくる。角度的には蒜場山と変わらないが、距離はすぐ目の前であり、見える山々の沢筋に残る雪渓が誘っているかのようだ。
前烏帽子に一株だけ咲いていたハクサンイチゲに励まされ、漸く山頂へ。

360度遮るものなく見渡せる山頂は飯豊の中では大展望台にして雰囲気を異とした離れがたき特別な場所。いつ来たってまた訪れたくなる。帰りの藪漕ぎがあるにもかかわらず1時間も滞在してしまった。

               烏帽子山から北股岳方面を!

自動車を停めた林道から所要時間は6時間50分掛ったが尾根のみでは5時間を切る。他の3ルートに比べればその疲労度は少なく長走川のコンディションさえ合えば、植生、距離、危険度含め最短ルートなのではと思う。林道が使えたことが大きな幸運であった。また、違うルートで来ることを伝え、帰路についた。

概要/本部・支部情報

pagetop