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公益社団法人日本山岳会

越後支部80周年記念事業山岳古道調査 谷根「北山街道」を歩きました!

越後支部80周年記念事業山岳古道調査
谷根「北山街道」を歩きました!

北山街道  薬師峠(200m)

○期日:令和6年4月7日(日)
○参加者:廣井博行、松井潤次、他1名
○地図:国土地理院 1/25000 「柏崎」「越後野田」
○コースタイム:谷根集落入口 正平寺9:25 → 9:50二十三夜塔
        → 10:10 薬師峠10:20 → 10:55沢合流地点
        → 
11:10 鯨波薬師堂 北陸道高架橋下     
○歩行時間:約1時間30分   歩行距離:約2.6km

 柏崎市谷根から鯨波の薬師堂海岸を結ぶ約3kmの峠道がある。谷根地域では「北山街道」の名称で古道として伝承されてきた。
 「谷根史誌」によれば、四方を山に囲まれた谷根は交通の難所で、大昔の米山街道は小杉から谷根を経て川内への山越えだった。時期は不明だが、柏崎の発展につれて北山から峠を越えて鯨波に出たとある。
 戦国時代に上杉謙信が通った謙信道といわれ、明治時代初期まで米山講や農作業の行き来に使われていたいう。薬師峠を越える不便さもあってか、明治23年(1890年)に峠の中腹から鯨波まで手掘りの隧道(谷根隧道?)が完成し、峠越えはなくなったが、後に隧道も廃道となり、人の往来はみられなくなった。

 調査日当日は天候に恵まれ晴天の中、下山口の鯨波薬師堂海岸から山側に入った北陸道高架橋下の空き地に車をデポして国道8号から県道257号に入り谷根川沿いに谷根集落に向かう。集落入口に正平寺という白壁が映えるお寺が見えたら、路肩に駐車する。ここが北山街道の入口である。道標などは見当たらない。

谷根側 北山街道入口

杉木立の街道

 畑仕事中の方にたずねると昭和35年頃までは隧道が存在していたような話であった。畑に沿って簡易舗装された道を登って行く。舗装が切れ、杉林の中に道が入って行く。道幅は2~3m位で道に沿って立派な杉木立が続く。斜面を沿うように登って行くと大きな石があり石仏と二十三夜塔が以前の地震によってか倒れてしまって放置されている。ここから7~8分ほど登ると標高200mほどの主尾根にでる。落ち葉の敷き詰められた道は峠までは平坦で歩き易い。ナラの木を中心とした林からは時折、木々の間から残雪の米山を見ることができる。イカリソウ、イワカガミなど花は少ない。

石仏と二十三夜塔

主尾根の広い街道

 頂上(薬師峠)と思われる地点に着くと、石仏と地蔵様が置かれている。米山薬師へ向かう「北山街道」の峠にあって、かつての信仰心が偲ばれる。少し下りた平坦な隣地は峠の茶屋跡であり建物が建っていたとみられる。先はしばらく平坦な道が続くが穏やかに下り始めている。

薬師峠

 主尾根から外れると一気に下りとなる。広葉樹の倒木が目立ち、歩きづらくなってきた。30分ほど下ると沢に合流する。鯨波側は沢の水でぬかるみもあり、また杉の倒木に阻まれてアルバイトを強いられた。15分ほどで林を抜けると林道に出て車のデポ地点に戻る。

鯨波側への下り

沢沿いを下る

 北山街道は谷根側が近年、整備されて比較的歩き易い道が峠まで続いているが、鯨波側は手が入らず、荒れている。10年ほど前に谷根地域で作られたウォーキングマップに自然と歴史が交錯する道として「古道・北山街道」が選ばれている。

鯨波側 米山参詣道の石仏

(松井 記)

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