越後支部80周年記念事業山岳古道調査
小国峠~桐沢峠を歩きました!
(小千谷市 西山山系遊歩道)
調査期日:令和6年5月19日
参加者:和田 守・松井潤次
行程:郡殿の池9:00 →9:40小国峠 →10:10稜線分岐 →10:45城山→11:20丸山 →11:30桐沢峠11:50 →12:30両新田登山口
地図:国土地理院1:25000 「小千谷」「法坂」
関田山脈に連なる西山山系は小千谷市と長岡市小国町を隔て、境界線には道見峠、小国峠、桐沢峠、薬師峠がある。現在、各峠の起点から終点まで峠を越える道は、ほとんど利用されておらず、倒木や下草が伸び荒れた状態で、歩行は困難である。小国峠から桐沢峠までは西山山系遊歩道として整備され稜線上を歩くことができ、峠越えではなく繋ぐルートで紹介する。
小千谷市吉谷水口が小国峠の起点であるが、現在は国道403号線で小国隧道を経由して長岡市小国町楢沢に至っている。旧道は不明瞭であり、小国峠へは吉谷集落奥の「郡殿の池」から歩くことにした。「郡殿の池」は県指定文化財に指定されており、浮島や周囲には弁財天の社、「おいよの墓」など史蹟もみられ広い駐車スペースと常設トイレもある。
先ずは簡易舗装された林道を登る。左に越後三山が見えてくるとほどなく終点となり舗装は終わる。左に墓が一基建ち、正面に小国峠への道標がある。右の藪にある356mの三角点を捲くように平坦な道を小国峠に向かう。10分ほどで峠に着く。展望はない。西山遊歩道への案内板があり、左の小国方面は倒木、右の小千谷方面はヤブで荒れ通行不能である。小千谷側には石塔と石仏を置いた祠があり当時、往来があったことが偲ばれる。ここからは西山遊歩道を歩く。
ほぼ平坦な雑木林を進むと小国方面の展望が開け、国道304号が眼下に見えると小国隧道の真上を通過する。少し登ると程なく稜線の分岐で右に向かう。「馬の背」の案内板からは痩せた道が続き要所にロープが付けられているが視界が開けてきて良い展望である。
再び樹林帯に入ると登降が続き、最高点の城山(384m)に着く。360度の展望を楽しんで丸山へ向かう。ここからは人気ルートなので道は良く整備されている。30分ほどで丸山(373m)に着く。頂上はミツバツツジが満開である。
急坂を5分ほど下って桐沢峠である。石仏が善い表情で佇んでいる。左は小国町桐沢へ向かうが、途中下草が伸び放題で荒れており現在歩くことはできない。右へ広い山道を下ると20分ほどで、小千谷市両新田の登山口に到着した。登山口の傍らには米山塔と刻まれた石塔が忘れられたように置かれていた。
小国峠や桐沢峠は軍道や街道のような歴史的に語られる道ではないが、地域を繋ぎ人や物資の往来に不可欠な普段の生活道であった。往時の人たちも、この景色の中を辿ったのであろう。
(松井潤次 記)