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公益社団法人日本山岳会

【報告】第8回東京支部懇親山行「伊豆ヶ岳から子の権現」

 

【報告】第8回東京支部懇親山行「伊豆ヶ岳から子の権現」

日時:2025年11月15日(土) 日帰り

天候:晴れ

参加者:9名

行程:8:00正丸駅集合・8:10歩き出し→8:40伊豆ヶ岳大蔵山コース登山口→9:45五輪山9:55→10:05伊豆ヶ岳10:40→10:55古御岳11:15→11:45高畑山12:05→12:35中ノ沢ニ頭12:40→13:05天目指峠13:15→14:00愛宕山14:10→14:15子の山(子の権現)14:25→15:05浅見茶屋16:50→17:30吾野駅(解散)→有志は飯能駅から中国料理店で懇親会

紅葉の盛りに奥武蔵のロングコースを歩こうと、8時前の電車で正丸駅に到着する。家を出る時間には真っ暗だったが、集合時間の頃にはよく晴れたハイク日和となる。駅前の「山小屋」という名の売店前にはトレイルランレースのエイドステーションの準備がされている。聞けば、電車の先頭車両には軽装の男性ランナーが大挙して乗車していたとか。ネット検索してみると、きょうから2日にわたるレースで、正丸駅、子の権現が途中の関門&エイドステーションになっている。100マイル(160km)の部と105kmの部(いずれも制限時間32時間)はこの日の朝6時に西武秩父駅の公園からスタートして今こちらに向かっているが、54km制限時間12時間の部が、朝9時のスタートだから、たぶんこれに出走する選手たちなのだろう。狭い稜線で多くのランナーとすれ違う、あるは追い越されることにならなければいいがと懸念するが、結局、杞憂だった。(ハイクコースと重なるのは、ごく一部だった)

林リーダーからコース説明があり、ストレッチを済ませ、駅左の階段、「正丸駅名物歩きにくい階段(というらしい)」(足を置くスペースがどんどん狭くなっていく、階段が傾いている)を下りて、歩き出す。

アスファルトの坂道をゆっくり登っていく。朝からいい天気だ。大きく御休處と書かれた看板、木造のレトロな「中丸屋」の閉店のお知らせが淋しいが、途中の木々も赤く色づき、ついシャッタータイムとなる。正丸峠への道との分岐が大蔵山コース登山口。お社と大岩、ミツマタの木。3月になれば黄色の花を咲かせるはずだ。ここから、急登となる。足元の落葉を踏みしめながら、ストックでバランスをとりながら、石と木の根に注意しながら慎重に登る。

最初の山頂、五輪山で小休憩。安藤SL兼副支部長から「朝起きてから、500mlの水分摂りましたか?飲んでください」と声がかかる。医師でもある原田山岳会常務理事も日頃おっしゃっている点だ。身体の中に水を貯えておくことが必要だという。

休憩を終え出発。いよいよクサリ場で有名な男坂が目の前に。落石危険の標識のある男坂は「落石危険」「落石注意」の看板、「飯能市観光協会」名で、立入禁止区域となっていた。一方、女坂にもロープが張られ、「女坂は崩落のため通行止め。左側のルートが、関東ふれあいの道、伊豆が岳を超えるみちです」の表示があり、安全最優先の支部山行では当然ながら、「中間にあるみち経由」で先に進んだ。

伊豆ケ岳の山頂が近づき、岩が露出し、尾根が狭くなってくる。「伊豆ケ岳851M」の山頂標識の前で、安藤SLが三脚を据え、集合写真を撮り、その後、休憩。通行するハイカーの邪魔にならない位置をおのおの見つけ、行動食タイムとなる。

子御岳ではベンチでひと休み。ここも紅葉の景色が美しい。あとから到着した若者グループはあずまやで休憩。安藤SLから、水分補給の再確認も入る。

真っ赤な紅葉が日に輝いて綺麗に映えて、みなシャッターを押していた。点々とある関東ふれあいの道の石標で残りの吾野駅までの距離がわかるのだが、先はまだ長い。

ここから下り、落葉で道が隠れた下り坂を通過。おひとり、足元が滑って、前方を下っていた参加者を巻き込んでずり落ちてしまう。幸い二人とも怪我はなかったが、ヒヤリハットであった。落葉の下の見えていない土壌に滑った様子。足を置く位置をしっかり決めて次の一歩を踏み出さなかったことと、危険のある場所で前方との間隔が詰まり過ぎたことが反省点だった。

歩きながら、参加者同士で話も弾んだ。女性登山家・田部井淳子さんを描いた今上映中の「てっぺんの向こうにあなたがいる」の映画を観た方の話(筆者の佐藤浩一が吉永小百合の夫役は年齢的に無理があるのではというコメントに、その方曰く老け役メークで全く違和感なく名演技だったとか、田部井さんの若い時を演じる「のん」ちゃんも演技がうまいとか、映画中のマヨネーズやケチャップの容器を再生して山で使う昔の登山道具事情が興味深いとか)。12月7日の山伏の先達での高尾山・薬王院の精進料理(とても美味しいらしい)の話とか、1月24~25の入笠山は雪山ハイクだから本格装備がなくても大丈夫とか、雪山装備をまだ持っていない参加者に、「高齢の会員はもう雪山やらないけど皆アイゼンくらい持っているから、タダで(?)くれるわよ」との女性大先輩のお言葉など、ワイワイ会話を楽しんだ。

高畑山695mを通過し、不思議な形の鉄塔(電線はない)の広場に出た。広く、展望良し。天気の良い日は切り株に座って宴会ができそう、ただし、傾斜があるため、テント場としては不向き。途中、すれ違った登山者に、「子の権現」は、トレランの応援ですごい人出だと聞く。

目指峠、愛宕山を通過し、子の権現に到着。まず、本堂へ。足腰の病に霊験のある神様にお詣りをし、日本一の鉄わらじの写真を撮る。参道まで移動する。オレンジ色の体にブルーの袈裟、カラフルな仁王像が、紅い紅葉、青い空によく映える。黒門を抜け、さらに進むが、群衆はいない。トレラン関係の雑踏はすでに治まって人は移動していて、参道の茶店に何人かはいるものの、静かな状態で拍子抜けだった。

しかし各自トイレを済ましての自由時間中、参道で待っていると、ランナーが走ってくるのが見えた。周囲に誰もいなかったのをいいことに、つい「ナイスラン・ナイスファイト!」と手を叩き大声で声援、ランナーに「ありがとうございます」と返される。(個人的感想だが、筆者は若い頃72km制限時間24時間制限を9回ほど走ったことがあり、レースの中盤、前にも後ろにもランナーが見えず「ひとり旅」の(単独で走る)状況を思い出し、つい感情移入してしまった)

浅見茶屋の手打うどんを目指すにあたり、やや速足で歩かねばならない。しかし、うどんが売り切れていては急ぐ意味がないとの心配が一部で挙がった。このトイレ休憩の間に、林リーダーが浅見茶屋に電話をしてくれて、うどんが売り切れていないことはわかった。ラストオーダーは15時半とのことである。今、14時半近く、茶屋まで、余裕もって1時間とみていた。(厳密にはコースタイムで45分)。ギリギリだ。ここから、うどんを食したい一心での猛進撃が始まった。誰ともなくペースアップし、足取りが先ほどまでと別人のよう。これも足の神様のご利益か。

子の権現からの歩道に、時折、落ちている、白い紙片。最初、使用済のペーパーとか汚いものかと警戒したが、どうもそうではなさそう。もっとずっと小さい。一定の間隔で意図的に落としているよう。浅間茶屋まで続いていように感じる。これは何?何のため?グリム童話のような帰り道の目印か?ランナーによるもの?それとも、ハイカー?なぞは深まるばかりで皆、首を傾げる。想像力を膨らましても、仮説さえ、思い浮かばなかった。白い紙片のナゾだ。

ナゾが解けぬうちに、浅見茶屋が見えてきた。結果的には、ラストオーダーの時間にずいぶん余裕をもっての到着。足の神様のおかげ?いや、言うなれば、「火事場の馬鹿力」ならぬ、「食い気の馬鹿脚力」だ。

茶屋といっても、高尾近郊の小仏城山あたりの茶屋のイメージとは大違い(失礼)、古民家を改装した立派な建物。メニューはうどんと甘味でも、立派な「レストラン」だ。親子三代と外看板にあるとおり、昭和7年創業。土間に薪ストーブ、囲炉裏、古いアイロンや電話機が店内のあちこちに飾られている。特に多いのはミシン。随所に置いてある。また、吉永小百合や富司純子が表紙の昭和40年代の雑誌が置かれ、年代物のピッケル、アイゼンも展示、さながら昭和展示館の趣。世代の合う参加者は懐かしそうに見学していた。しかし、なぜミシンだけこんなに多いのか?養蚕を生業としていた古民家とミシンが関係あるのか?疑問が膨らむ。今度は、古いミシンのナゾだ。(店員さんに聞けば解決したかもしれないが、そのままになってしまった)待ち時間は長かったが、お喋りに興じながらゆったりとした時間を過ごした。うどんは竹の容器に入ってきて、蓋を開けると、釜揚げ。具だくさんのつけ汁につけて頂いた。コシのある中太うどんはとても美味しかった。

浅見茶屋から飯能駅までタクシー呼ぼうかとの提案も一部にあったが、結局、当初の予定どおり、吾野駅まで歩くことに。「速度が遅いので」先発したいという1名に付き添おうという安藤SL、「暗くなったので、念のためクマ鈴を装着」と、安全のための指示を残して、先に出発。後発の7名はゆっくり食事を終えて出発。途中、暗くなり、ヘッ電をつけて舗装道路をひたすら下った。吾野駅で全員合流し、リーダーの指示のもと解散とし、電車で上り方面へ。有志4名は飯能駅で下車し、手頃な反省会場を探してさまよった結果、地元家族客でにぎわう中国料理店で落ち着いた。

穏やかな天候と真っ赤な紅葉に恵まれ、絶品のうどんも頂き、林リーダーの的確な指示と適切なタイミングでの情報伝達で安全安心、大満足のハイキングとなった。

リーダー、SL、参加の皆さま、ありがとうございました。

記)14511鈴木宏治(コージ)

支部

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