メニュー

公益社団法人日本山岳会

羽根田 治著『十大事故から読み解く 山岳遭難の傷痕』山と渓谷社2020年

 古い遭難事故をほじくり返して、いたずらに好奇心を刺激し危機感を煽るのは、余りいい趣味とは言えない。現代の気象予報は明治時代よりもはるかに正確だし、GPSがあれば発生しなかった遭難も多い。今どき「谷川岳の宙吊り事故」などを掘り起こして一体どんな意味があるのだろうか? 遭難本の元祖は春日俊吉、山岳遭難を警告・啓蒙すると共に、危機感を煽り刺激する本ともいえる。今まで山登りを知らなかった人まで興味を示し、新たな遭難を誘発し助長する?社会的悪循環といえるのではなかろうか。

  しかし教訓として思い返してみるのはいいかも知れない。現代にも通じる部分もあるからだ。文章はゾクッとするくらいリアルで、良く検証されていて、登山そのものが恐くなるほどの迫力がある。いわゆるドキュメンタリー作品。

 ※危機感を煽って読者の好奇心を刺激する⇒興味本位の登山者が増加する⇒遭難が増える⇒益々報道がエスカレートし過激になる⇒更に登山者が増える⇒遭難が増える。この悪循環を、社会的悪循環というのだろうが…、これをどこかで断ち切る必要があるだろう。

pagetop