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公益社団法人日本山岳会

初級者講習報告「初めての宿泊山行の準備と事故への備え」

講習名:「初めての宿泊山行の準備と事故への備え」 報告書

日時:2025年7月15日 19時~20時30分

講師:久保田賢次 (日本山岳会 理事 茨城支部)

   永田弘太朗 (日本山岳会 副会長)

   安藤隆生  (日本山岳会  東京支部 副支部長)

人数:受講者:14名 運営:講師3名+スタッフ5名 総人数22名

場所:JAICA本部教室

報告:第一部では「事故への備え-夏山での事故の傾向・防ぎ方など」と題し久保田講師から、第二部では「今回の実技(宿泊山行)についてのご説明と質疑」を永田講師、安藤講師から講演が行われた。

第一部では久保田講師の自己紹介として山岳雑誌出版社での活動、東京都山岳連盟救助隊員としての取り組み、遭難対策関係企業での取り組みなどが紹介された。講演では、山で起こっている事故の統計類別、日本における事故の特性、年齢層、態様別統計値の解説が行われた。また日本で多くみられる「道迷い」に関してアメリカとの比較では、アメリカでは僅か2%という大きな違いが見られた。その背景にはアメリカでは国の管理の基、標識の統一や比較的分かり易い登山道が多いのに対し、日本では登山道整備が山小屋の管理者やボランティアに任されている実態が紹介された。海外の登山家から、「日本の登山道はジャングルの中を歩いているようだ」と揶揄される事もあるそうだ。 また登山人口の推移と遭難件数との関連性は見られないが、通信手段の普及が件数増加に関係があるとの話は大変興味深いものだった。またWEBアンケート結果の分析として「単独行」に着目し、「危険だから止めよう」という考え方から「安全確実な単独行を」という考え方の必要性が紹介され、その前向きな取り組みに強い共感を覚えた。

第二部では、永田講師、安藤講師により、7月19日から行われる実地講習「山での生活技術-山小屋泊でスキルを学ぶ」の行程、必要な装備品、注意点について講演が行われた。特に登山家のマナーとして「駅や電車内では、ストックは必ずカバーを掛け、電車移動時はリュックには付けないで手持ちする。立って乗車する場合は、リュックは背負わず足元か荷棚に置く」と注意喚起がなされた。

質疑応答では、山行中の必要な水の量や山小屋での生活、「いびき」、への考え方等、山岳保険の選び方等、実践的な事例について積極的に質疑応答が行われた。講習性の皆さんは4日後に行われる実地講習に向けて真剣な眼差しで受講している姿が印象的だった。

記載者氏名:舘野洋彰

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