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公益社団法人日本山岳会

【報告】初級者講習会・机上「第6回 基礎から学ぶ山の気象講習」

【報告】

初級者講習会・机上「第6回 基礎から学ぶ山の気象講習」

日時:2025年10月10日(金) 19時00分〜20時30分

場所:日本山岳会本部・会議室

講師:飯田肇氏(日本山岳会)

受講者:20名(会員・準会員9名、一般8名、オンライン3名)

今回の机上講座は、安全な登山を実施するために最も不可欠な要素の一つである山の気象について講座を行った。今回は講師に飯田副会長をお迎えし開催した。

「気象」は「ロープワーク」「読図」と並ぶ人気講座の一つであるが、日頃から実践と復習を重ねていないとなかなか身につかない奥深い分野でもある。講義では気象に関連して遭難をもたらす要因の解説、気圧と高度・気温、観天望気について、天気図の読み方、さらに実際に起こった遭難の紹介、風、雨、土石流、雷といった具体的な事象についての解説、遭難を回避するポイントなどを取り扱った。特に、遭難の中には知識さえあれば防げるものもあったとのことで、天候だけでなく自分が行く山の気象の傾向を事前に調べることの重要性も説明された。また、便利な気象アプリの紹介もされた。普段からスマートフォンの雨雲レーダーやお天気アプリなどの積極的な活用を推奨され日常的な情報収集の意識づけとなった。

内容は難しく奥が深い講義であったが、非常に見やすい図解がふんだん掲載されたスライドと長年の経験に基づいた分かりやすい解説で、受講者の皆さんは深く理解が得られたことと思う。個人的にも大変勉強になった講義であった。

受講者の皆さんは真剣な眼差しでノートをとり、時には感嘆の声があちこちで漏れ、心地よい緊張感が漂っていた。特に印象に残ったところは定点カメラが捉えた土石流の威力の映像で、ものすごい勢いで全てを巻き込み押し流していくその様に改めて自然の驚異を意識させられた。最後の質疑応答では質問が次々と飛びだし、大変活発なやり取りが行われた。皆さんの山への熱意、意欲の高さがひしひしと感じられた講義であった。

次回の実地に向け、山行3日前からの天気図と天気予報の確認が宿題として出された。当日はその情報をもとに質問を重ねることで、机上で学んだ知識と山で得られる五感によって、気象への理解がより深まることと期待している。

報告:16391 若林優子

支部

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