実施日:2022年11月19日(土)
場所 :信玄棒道(甲斐小泉駅~女取湧水~火の見櫓跡~小渕沢道の駅~小淵沢駅)
目的 :古道の体験と歴史、文化を学ぶ
参加者:松浦/町澤/伊藤/平野/米倉/稲垣/大澤/中場/木曽/古谷/下田/石田/野口/(多摩支部/高岡/茂呂/小澤) 計16名
ガイド :大熊さん(北杜市資料館学芸員)
信玄棒道を歩き石仏観察
11月19日(土)科学委員会の研修山行を開催。13名の委員と多摩支部から3名の計16名の参加となった。小海線甲斐小泉駅に10時15分に集合、駅前でガイドをお願いした北杜市資料館の若き学芸員大熊さんと合流。八ヶ岳はじめ鳳凰三山、北岳、甲斐駒ヶ岳、鋸岳等の南アルプス北部の山々の眺望が素晴らしい。早速、名水百選の「三分一湧水」に向かう。水路・水流量のもめ事を防ぐ為に均等に三分に分ける仕掛けは三角の敷石であった。小荒間番所跡を過ぎて間もなくすると西国27番如意輪観音像が現れる。大熊ガイドの説明によれば「信玄棒道」とは、武田信玄が北信濃攻略用に最短の軍用道路として3本作ったと言い伝えられている。八ヶ岳西麓をほぼまつすぐなので棒道と呼ばれるが、江戸時代末期この信玄棒道沿いに1丁(約109m)ごとに30数基の観音像が安置されたこともあり、現在でも「上の棒道」の一部が残されている。棒道には主に5種類の石仏があるが、まず西国27番如意輪観音座像が現れた。如意輪観音は、手が6つで右手でほおづえをつき思索しているスタイルだ。舗装道路が終わり砂利道になると二股となるが、いったん棒道を離れ名水百選「女取湧水」チャレンジコースを行く。分岐には5種類の石仏の2つ目のタイプの十一面観音立像がある。緩やかな登りで約25分、女取湧水に到着。女取り湧水の謂れは、色々と語られている女取川哀話からきているようだ。残念ながら水が湧き出している部分は、フェンスで完全に囲まれており全く見ることが出来ない。しかしすぐ近くからかなりの量の水が流れ出している。20分の下りは大半が防火帯で幅広になっており正にカラマツのプロムナードだ。再び棒道に合流したのは12時過ぎ。参加者は早朝に朝食を取っているので腹の虫が鳴き始める。坂東7番聖観世音文字塔、坂東9番千手観音座像、坂東10番千手観音座像、坂東11番聖観音立像が次々と現れる。カラマツや落葉広葉樹の中に立つ別荘地の中を真っすぐに進むとやがて左手に小淵沢カントリークラブ沿いとなる。12時40分に火の見櫓跡地に到着。正面に甲斐駒ヶ岳を見ながら参加者全員で昼食をとり13時、棒道と分かれて緩やかな舗装道路を下り始める。足にきついのでなるべく地面が土の側道を歩く。右手にある公民館を過ぎれば道の駅小淵沢迄、あと半分だ。道の駅小淵沢には日帰り入浴が出来る「延命の湯」があるが又の機会に訪ねよう。富士山の姿を左手に眺めながら歩く。14時15分無事に小淵沢駅に到着。大熊ガイドと別れ参加者と近くの駅近くの食堂でビールとおでん、つまみを食しながら約1時間、振り返りを行い大半の方は15時58分発のあずさ42号で帰京した。車中では甲斐駒ヶ岳にかかる素晴らしい晩秋の層積雲を眺めながら歩いた信玄棒道と江戸時代に安置された観音像を思い返しているうちに睡魔に襲われてきた。新宿着18時04分。
( 伊藤謙二 記 )