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公益社団法人日本山岳会

遺贈をするために

1. 遺言について

法的に有効な遺言とするためには民法に定める方式とする必要があり、その方式には大きく「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。
いずれも、財産のすべてについてそれぞれの承継者を定めるのではなく、財産の一部についてのみ遺言で受け取るものを指定することもできます。
また、「自筆証書遺言」・「公正証書遺言」ともにそれぞれメリットやデメリット(後記【ご参考】参照)があり、「想い」をきちんと形にして遺すには専門家のアドバイスを受けられることをおすすめいたします。
なお、当会の公益法人運営委員会でもご相談を承ります。

2. 遺贈の指定

遺言で財産の遺贈をするためには、「どの財産」を「誰」に遺贈するのか、明確に指定することが必要です。
(例)

〇〇銀行▲▲支店の預金債権のうち□□万円を公益社団法人日本山岳会(東京都千代田区四番町5番4)に遺贈する。

遺贈先については、正式名称と住所で特定をしますので、必ず正式名称と住所を記載ください。

3. 遺言作成時の留意事項

(1) 遺留分について
民法では、法定相続人のうち配偶者・子ども・父母等については、財産の一定の割合を取得する権利を認めており、これを遺留分(後記【ご参考】参照)といいます。
遺言により指定された財産が遺留分を満たさない法定相続人は、遺留分に不足する金銭を受遺者や他の相続人に請求することができます。
円滑な相続の実現のためには、遺留分を考慮する等配分への配慮が必要です。

(2) 遺言執行者について
遺言執行者とは、遺言の記載内容を実現する人で、そのため相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有すると民法に定められており、遺言執行者をあらかじめ指定しておくことで、より確実に「想い」を実現することにつながります。
なお、遺言執行者は必ずしも弁護士・司法書士等の専門家である必要はなく、法定相続人や受遺者の誰かを指定することもできます。

(3) みなし譲渡所得税について
税法上、不動産や有価証券等の値上がり益の発生している財産やその換価換金後の代わり金を個人が法人に遺贈により譲渡した場合にはみなし譲渡所得税が課税されることがあります。
このみなし譲渡所得税は相続発生から4ヶ月後に期限が到来する準確定申告にて、遺贈を受ける法人ではなく、財産を受け取らない者も含む法定相続人が申告して納税する必要があります。

4. 遺贈財産の相続税法上の扱い

個人が相続財産の一部または全部を日本山岳会に遺贈した場合、遺贈した財産については相続財産から控除されて相続税額が算出されます。

5. 遺贈へのお礼について

 100万円以上の遺贈 ご遺族に対して記念品を贈呈
 300万円以上の遺贈 ご遺族を年次晩餐会にご招待し、感謝状・記念品を贈呈

【ご参考】
○自筆証書遺言と公正証書遺言の主な特徴

  公正証書遺言

自筆証書遺言
自宅等保管)

自筆証書遺言
(法務局保管)>

作成者 公証人 遺言者 遺言者
作成方法 遺言者の口述を基に公証人が作成、証人2名が立会い 遺言者の自筆(本文・署名・日付)、押印要 遺言者の自筆(本文・署名・日付)、押印要
原本保管 公証役場 自宅・貸金庫等 法務局
費用 財産額や相続人の数によって数万円〜数十万円 なし 法務局で保管時に3,900円
メリット 公証人が作成するので法的有効性が担保される
遺言の偽造・破棄・隠匿の危険性がない。
検認が不要
費用がかからない
秘密性が担保される
秘密性が担保される
保管受付時に署名等の法的要件が確認される
遺言の偽造・破棄。隠匿の危険性がない
検認が不要
デメリット 相応の費用がかかる 法的不備で遺言が無効となる可能性あり
検認が必要
遺言の偽造・破棄・隠匿の危険性あり
法的不備で遺言が無効となる可能性あり

○法定相続人と遺留分について《概要》

  法定相続人 法定相続分 遺留分
第一順位 配偶者 1/2 1/4
1/2 1/4
第二順位 配偶者 2/3 1/3
父母 1/3 1/6
第三順位 配偶者 3/4 1/2
兄弟姉妹 1/4 なし
  • 子・父母・兄弟姉妹いずれも複数いるときは法定相続分・遺留分ともに均等割。
  • 子が先に亡くなっていて孫がいる場合は孫が、孫も先に亡くなっていてひ孫がある場合はひ孫が代襲して相続人となる。

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