裏磐梯スケッチ山行
1日目「磐梯山スケッチ山行に寄せて」 (7/16・金)
茂呂よしみ
初めまして、2021年4月に入会させて戴きました茂呂よしみと申します。コロナ禍の時、なかなか思うように皆様にご挨拶もできず、裏磐梯スケッチ山行で初めてご一緒させて戴きました。少々不安を覚えながら参加させて戴きましたところ、小出様をはじめ幹事の方や会員の皆様から暖かい笑顔で迎えていただき、大変感激いたしました。
私はここ何年か、とあるお寺に納める壁画を数人で描いております。画材は日本画のものを使い、こちらの絵は一区切り描くのに6ヶ月から1年ほどかかります。けれども…スケッチ山行では短い時には15分程で描くようにとのご説明がありまして、いざ色をつけようとしますと、水彩画と日本画では絵の具の使い方や彩色の方法がかなり違いますので、最初は頭の中が混乱してしまいました。ドキマギしながらも自分なりに何枚か描くうちに、辿々しくはありましたが、その場でスケッチから彩色まで取りかかれることの面白味が少しずつ感じられるようになりました。
7月16日午前8時30分、東京駅近くの鍛冶橋駐車場に集合し、バスに乗車。一路裏磐梯へと出発です。
宿に到着後、荷物を置きさっそくスケッチの道具を背負って五色沼散策に向かいます。午後2時30分、毘沙門沼に到着、小出様の声かけで沼のほとりに座り、初のスケッチに挑戦です。が、なかなか思うようには描けません!!気持ちは焦るばかりです。五色沼の散策路を辿り、いくつかのスケッチポイントでは描き方のヒントなどを教えて頂き、何度も描きます。空は美しく碧く、奥には磐梯山の勇姿が聳え、時折吹いてくる風に漣が寄せて沼の面を輝かせる穏やかな風景です。沼と磐梯山が好対照をなす大自然にむかい、充実した時間を満喫し宿に帰ります。
宿からも磐梯山が見渡せますが、滅多にない良い天気とのこと、噴火により抉り取られた岩肌が夕日に照らされて赤く輝く勇壮な姿は見惚れるばかりでしたが、そんな時でも先輩の皆様はもうせっせとスケッチに勤しみ、素敵な作品を描いていました。3日間共素晴らしい好天に恵まれ、磐梯山に登頂し、その上温泉にまで入ることができました。
家に篭りがちで小さくなっていた気持ちが解放され、心地よい疲れを感じながら2泊3日の山行を無事に終えて帰路へとつけましたこと、ご尽力いただきました幹事様、皆様に心から感謝いたします。 先輩方のように素敵なタッチの山の絵が描けるようになるまでどれ程かかるものやら見当もつきませんが、めげずに大好きな山の風景を描き続けたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
裏磐梯スケッチ山行
2日目「磐梯山スケッチ山行に寄せて」 (7/17・土)
田村 典子
深夜、幾度も目を覚まし時計をチェック。6時起床、7時朝食、7時半集合。久しぶりの登山に落ち着いて眠れませんでした。バイキングの朝食も控えめ、ホテルのバスに乗り込みました。当クラブ初めて参加の登山&スケッチ行。コロナ太りの体調で果たして山頂まで届くのかどうか・・・神様!
磐梯山の八方台・登山口で「山頂組」or「散策スケッチ組」を確認。記念撮影後、まずは「中の湯」までの約30分コースを全員で出発。既に太陽は燦々、辛い一日になりそうですが、長閑な鳥の囀りや木々の囁きに、ちょっぴり気持ちが和みます。硫黄臭の危険地帯を抜けると、見晴らし良い「中の湯」分岐に到着。そこで2回目の集合写真をパチリ。既に大汗をかき目眩がしそうな暑さにもがいていると、小出リーダーから「時間を決めて11時までに山頂に届かない人は、途中で下山して下さい」と号令がかかり、益々心臓が縮んできます。もうカッコウの声も素晴らしい景色も・・・全てが拒絶体勢に入り、ひたすら歩きます。山頂まで僅か1.5時間だというのに、物凄く長く辛く感じました。途中、下山の家族やカップルなど多くの登山客とすれ違いましたが、往きかう人は誰もが元気溌剌としており、体力不足の自分が情けなく感じられました。
「弘法清水小屋」前に着くと、冷たい湧き水に生き返り、大いに元気付けられました。我が山人生(と言っても僅か25年くらいですが)の中で最高の美味でした。小出パーティは小屋内で小休止の予定でしたが、私は休憩を入れると歩けなくなりそうなので、ひと足先に出発。ヨロヨロと山頂に向かいました。「あと僅か30分」のハズが、どうにも前に進めません。途中、すれ違いざまに小学生らしい女の子から「大丈夫ですか?」と声をかけられてビックリ。それほど怪しげに見えたのだな・・・反省しきりでした。
頂上到着は10時35分頃。山頂は多くの登山客で賑わっていましたが、既にトンボの大群に占領されており、人・岩おかまいなしにとまり放題、大暴れでした。そんな中、既に松本さんが到着されており、猪苗代湖方面を優雅にスケッチされていました。私は山体崩壊をおこしている北面を描きたかったので、逆方向に位置を取り、後続メンバーとスケッチを始めました。見たままに描けないもどかしさはどうにもなりませんが、小出リーダーの口癖である「何枚も描くことが上達の早道」を信じて、取り敢えず2枚描いてみました。
正午に下山。そこからまた長い下山路が始まります。けれども、もう登る苦しさからは解放され、青い空と絶景を眺めつつひたすら「銅沼」を目指します。お花畑を抜けると、今度は森林帯の長い泥濘道が続き、3時直前に「銅沼」に到着。けれども他メンバーの姿は無く、その場で本日2度目・約1時間のスケッチを開始。銅色に染まった沼の向こうには、かつての大噴火を思わせる荒々しい山容の大パノラマが広がっており、脇から立ち昇る細長い白煙から、小規模ながらまだ噴気活動が続いている様子も窺えました。皆の気持ちをギュッと惹きつける迫力のあるスケッチ・ポイントでした。
最後の下山。ひたすらスキー場の中を下降しリフト乗り場まで辿り着くと、突然笠原さんから電話が。近隣にお住まいの小出リーダーのお嬢様が車でお迎えに来て下さる、とのこと。ヘトヘトに疲れ果てた連隊は一同大喜び! 今回のスケッチ行は、残念ながら陽子さんがご参加になれませんでしたが、小出リーダーのご主人様が特別参加。そしてもうひとりのお嬢様の突然の来訪・・・お幸せなご家族に温かくバックアップされた素敵なスケッチ山行でした。
裏磐梯スケッチ山行
3日目「磐梯山スケッチ山行に寄せて」 (7/18・日)
昨日、一昨日に引き続き濃く鮮やかな青空。スケッチには、申し分のない最終日となりました。「西吾妻登山」「美術館や散策」「中瀬沼をスケッチ」と3つのグループに分れ、それぞれが最終日の裏磐梯を楽しみました。私は、中瀬沼スケッチに参加させて頂きました。
ホテルからチャーターしたタクシーに6名が乗り込み、10分程で中瀬沼サイトステーションに着きました。案内板を見ながら展望台までの道のりを進みます。整備された木道。雑木林に入ると、照りつける日光を遮る木影と木漏れ日が差し、野鳥のさえずり、虫の声にたびたび足が止まりました。ジュンサイの花も咲いていました。
歩くこと15分、展望台に到着。木々の緑のトンネルを抜けると、まばゆいばかりの裏磐梯の稜線に目を奪われます。荒々しい火口壁の裏磐梯、エメラルド色に輝く中瀬沼。中瀬沼展望台からの裏磐梯山は代表的なビュースポットだそうです。
ベンチに腰を下ろしスケッチブックを開く。今日のこの空、この空気、ゆったりとした時の流れの中で描くスケッチ・・・なんという贅沢だろう!! 中瀬沼で2時間余りのスケッチ。
ホテルに戻り、カフェで「生パスタランチ&コーヒー」をいただく。これも至福の時。
帰路、長い長い渋滞。バスの中、爆睡。予定より1時間程遅れて19時過ぎ、全員無事に鍜治橋駐車場に到着。
3日間、梅雨明けと共に天候に恵まれ最高のスケッチ山行となりました。久しぶりの筋肉痛は、裏磐梯山の思い出としてしばらく残りそうです。
裏磐梯スケッチ山行
3日目 西吾妻山登山 (7/18・日)
松本 博子
5時にホテルを出発し、本間さんの車でデコ平駐車場まで上がって5時26分着。さっと朝食をとり、身支度をして5時38分に登山開始しました。天気は快晴。まだ空気はひんやりしています。10分ほど進んだところで「→ 山頂駅・デコ平湿原」という道標を確かに見たのに、なぜか左へ進んでしまい、「左 百貫清水を経る」という道標が出てきて初めて地図で確認したところ、1時間10分の道程の半分まで反対方向へ進んでいるのに気づきました。
引き返す選択肢もあったのですが、滝の方から行ってみようということになり、そのまま進むと道はどんどん下っていきます。布滝は、上下左右に絶妙に配置された岩に、薄く白い布を掛けたように水が流れ、明るい葉の色と相まって清らかで涼しい、すてきな滝でした。「この滝に私達は、呼ばれたのかも?」と、思ったくらいです。そこからは、滝の左岸についた急な登り坂に喘ぎ、滝の上部まで出ると今度は川を二回渡渉し、苔だらけの大きな岩を乗り越え、左右から下草が伸びていて藪漕ぎ状態となりました。
西側斜面のブナの森の中なので、夏の日差しに照らされないのはラッキーでしたが、ひたすらトレーニングです。振り返れば磐梯山が見えるはずですが、枝や葉が生い茂って一瞬だけしか見えず、我慢の登りが続きました。 アオモリトドマツの高さが低くなり、自分の頭がまわりの木より高くなり、コバイケイソウの白い花が咲いて、ようやくもうすぐだと思えたときには、リミットの10時になっていて、10時10分、よう
やく西大顚に到着~~!思わず3人でガッツポーズしました!赤みがかった岩が散らばった一帯からの眺望はすばらしく、前日登った磐梯山の爆裂火口を正面に、猪苗代湖も顔をのぞかせ、昨日は雲がかかっていた那須連山もくっきり見えました。西吾妻山ののっぺりした山頂部へは、「また今度ね~~」と声をかけて、10時38分、下山の途に就きました。登山中はもちろん!誰にも会わなかったのに、下山の時には10名くらいとすれ違いました。スキー場を横切り、デコ平湿原の、ワタスゲの綿くらいしかお花もない木道をどんどん歩き、12時36分に車に戻れました。ちょうど周回コースとなり、西吾妻山の山頂までただ往復するよりは、トレーニングにもなり、一生記憶に残る山行になりました。本間さん、泉谷さん、ありがとうございました。