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公益社団法人日本山岳会

山行中の足の攣りの対処 野口いづみ(医療委員会委員長)

山行中の足の攣りの対処

野口いづみ 医療委員会委員長 

 足(脚)のツリは山行中で遭遇することの多いトラブルで、中高年者と初心者に多い。初心者はまだ筋肉がついていないため、中高年者は筋肉の衰えたために起こりやすい。主な原因は脚の筋肉疲労と冷え。部位はふくらはぎが多いが、太ももや足底にも起こる。 

予防法は、登山前には脚にテーピングをしておく、きつすぎるサポーターを使わない、体、特に脚を冷やさないようにする、適宜休憩を取るなど。登山中は休憩時間にストレッチをしてふくらはぎや太ももを伸ばすようにする。クエン酸とアミノ酸は乳酸の生成を抑制し、筋肉疲労に予防効果があるので有効だ。。クエン酸は酸っぱいので、甘いスポーツドリンクなどの飲料に加えると良い。塩分不足も原因として考えられているので、スポーツドリンク、みそ汁、梅干し、塩昆布など梅干しなどで塩分を補給する。長期的には脚筋力の強化を心掛ける。

攣った場合は、ふくらはぎなら軽く足先を押し曲げてふくらはぎを伸ばす。軽く指圧をしたり、優しくマッサージをする。カイロを当てて温めることも効果的。

芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう/漢方薬68番)とゴムベルトも有効で、山に携行してほしいアイテムだ。

芍薬甘草湯は攣りの治療薬として知られるようになった。骨格筋とともに、腹痛などの内臓筋の痙攣に効果がある稀有な薬だ。芍薬に含まれるペオニフロリンはカルシウムイオンの細胞内流入を抑制し、甘草に含まれるグリチルリチン酸はカリウムイオンの流出を促進し、この2つのブレンド効果により、神経筋シナプスのアセチルコロン受容体に作用し、筋弛緩効果を発現すると考えられている。他の内臓の筋肉の痙攣、たとえば胆石や尿路結石による痛みや生理痛にも効果がある。足が攣った場合に内服すると5~10分程度で効果が得られる。漢方薬だが即効性があり、数日前から飲む必要はない。出発前に予防的に内服しても良い。ただし、常用内服によって血圧上昇、むくみなどの副作用を起こす場合がるので、高齢者は1日1袋程度にし、常用する場合は医師に相談する。

ゴムベルトを巻くことも、脚の攣りや脚疲労に効果的だ。作用として、脚筋のサポート効果、血流改善効果などが推測されている。ふくらはぎの攣りでは、ふくらはぎに巻くとほどけやすいので膝に巻くこともある。膝に巻くと膝痛の予防と対処にもなる。膝下から巻いて、膝後ろを斜上に巻き上げ、膝上を巻いてから、膝後ろを斜下へ、ベルトがクロスするように巻いて膝下に戻す。膝下は硬い骨があるのできつめに縛り、膝上はやや緩めに巻く。太ももが攣った場合は太ももに巻く。太ももをきつく縛りすぎると、うっ血して苦しくなるので、きつくならないように注意する。攣った方の脚だけに巻くと、もう一方の脚も攣りやすいので、両足に巻く。末端はテープなどを貼り、ほどけないように工夫する。なお、私が使っているのは八光社(03-3779-6520)の膝ベルト(平M2・2本一組(長2m・幅2.5㎝))だが、同様な効果があれば類似品でよい。Web「自然良能会ゴムバンド」参照のこと。

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