1983年(昭和58) 6月24日(金)
山岳会ルーム
北川信一郎(埼玉大教授)
参加者:21名 報告:山460-1983/10(中村純二)
報告
山での落雷の脅威は、私たちの関心の高い問題であるが、北川教授は実験によっていくつかの新しい問題点を明らかにされた。以下は氏の講演の要旨。登山中の落雷について、参考にして頂きたい。
(参考文献『暮しの手帖』78号)
◇直立する人体は、頭から両足への全抵抗300~500Ωの導電性物体として応答。皮膚の絶縁効果は皆無で、衣服・雨衣・ゴム長靴の絶縁も無効果。
◇三つのステージ、(a)体内電流のみ、(b)体内電流と多数の部分沿面放電、(c)体内電流と沿面フラッシュオーバがあり。 (b)ステ-ジ止りの例が多く、 この場合が死亡率最高である。
◇死因は、休内電流による呼吸停止、心停止。
◇部分沿面放電、沿面フラッシュオーバーは火傷、皮膚剥離、電紋を生ずるが、これらは皮膚表層の熱傷で後遺なく治癒する。
◇身体につけたり、持ったりする金属の周辺には、年中的に部分沿面放電が生ずるが、これには致死効果は全くない。
◇落雷を誘引するのは、地表から突出している人体そのもので、特に頭より上方に傘その他の物体を突出させると、それら物体が絶縁物であるなしに拘らず、雷の誘引効果は増大する。
◇樹木、避雷針の設置してないポール、マスト、煙突等、高い物体の近傍は、二つの理由で危険度が高い。
第一に、これらの物体は人体より落雷を受け易い。
第二に、これらの物体に落雷すると、側撃により落雷電流の主流が人体に移行する。
◇人体への落雷安全対策と緊急避雷法
・姿勢を低くし、絶縁体であっても、身体より高くものを突出さない。
・山頂、尾根、屋上その他高いところから早く離れる。
・大勢一緒にいたら散らばる。
・樹木や技、煙突で電柱等、高いものから必ず2メートル以上離れる。高さが5メートル以上あれば2メートル以上離れて、そのてっぺん一を45度の仰角で見る範囲で姿勢を低くする。
・金属を捨てても安全にならない。ゴム長ぐつ、雨合羽、テントのシート等も、避雷の役に立たない。
科学研究委員会第18回講演会
昭和58年6月24日(金)夜
JACルーム、出席者21名
(中村純二)
山460(1983/10月号)