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公益社団法人日本山岳会

探索山行報告 2009年6月 「谷川岳の氷河地形と平標山の周氷河地形」

◆探索山行「谷川岳の氷河地形と平標山の周氷河地形」
2009年(平成21) 6月13~14日
地域:谷川岳東面の沢、平標山
コース:谷川岳ロープウエイ駅-一の倉沢-幽ノ沢-上牧温泉-平標山
宿泊:上牧温泉・辰巳館

講師:小疇尚「谷川岳東面の沢の氷河地形」
原田(会員)
参加者37名 報告:山770(平野裕也)

探索山行

谷川岳の氷河地形と平標山の周氷河地形を観察

6月13~14日、谷川岳と平標山で探索山行が行なわれた。科学委員17名と会員20名、合計37名が参加した。
13日は、谷川岳ロープウエイ駅の駐車場よりブナやミズナラの巨木に感動しながら緑滴る林道を行く。 20分ほど歩くとマチガ沢の大岩壁が現われ、一同歓声をあげる。講師の小畦委員が氷河地形の特徴を解説、基本的な知識を頭に入れて一ノ倉沢に向かう。一ノ倉沢出合では、せり出した小尾根が実は巨人なモレーンであること、出合近くの巨岩が実は頂上付近の岩質と同じで、氷河が運んだものと推定できることなどを聞いて、これまで日本の氷河と言えば薬師岳や立山といった高山の力-ルだけを想像していた常識が一変した。

 昼食後、氷河地形をより間近に見るため軽アイゼンをつけて鳥帽子スラブの少し下まで登る モレーンの上部に広がるU字谷を眺め、山頂近くから氷河によって運ばれたと推定できる大岩が、むき出しのモレーンの中に理まっている地層などを観察しながら、数万年前にこの谷を埋めていた氷河の姿をまざまざと思い浮かべることができた。そのあと、幽ノ沢まで足を延ばし、谷をほとんど塞ぐ形で横たわる巨大モレーンを観察後、今晩宿泊する上牧温泉の老舗旅館辰巳館に向かう。

 夕食前に小畦委員、原田会員から氷河地形のおさらいと明日の観察地である平標山の周氷河地形 (氷河周辺で凍結と融解、残雪作用などにより形成される地形)の解説講義を受けたあと、上質な湯と料理、酒を堪能した。

 14日は雨で明けたが、まもなく薄日も差してきたので平標山に向けて出発する。登山者の車で混雑する元橋駐車場でバスを降り、山頂を目指す。途中、原田会員より偽高山帯の植生の特徴や、むき出しになった岩屑がザラザラに堆積する周氷河地形の特質の解説を受け、4時間ほどで全員頂上に到着した。頂上付近で凍結と融解、卓越風で形成されるパッチ状裸地やそこに定着するさまざまな高山植物も観察した。

 小畦・原田両氏の丁寧な講義と熱意溢れる解説のお陰で、参加者全員、にわか氷河地形学者になったような気分に浸り、大いに盛り上がった探索山行となった。

    (平野裕也) 
山770-2009/7月号

 

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