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公益社団法人日本山岳会

【報告】 初級者向け登山講習会・机上「冬の登山 無雪の低山から雪山まで注意点と装備の紹介など」

【報告】

初級者向け登山講習会・机上「冬の登山 無雪の低山から雪山まで注意点と装備の紹介など」

日時:2025年11月25日19時~20時30分

場所:JICA市ヶ谷ビル

講師:飯田邦幸氏(日本山岳会 東京支部支部長)

受講者:29名 (会員・準会員13名、一般6名、オンライン10名)

今回は無雪期の山と積雪期の山の違いに関して標高別のリスク、冬山装備の考え方、選ぶ時の注意点 エネルギー補給、雪崩対策等など細部にわたり解説された。

標高別登山の考え方として、3000mクラスの冬山では雪山装備の事前の使い方のトレーニングが必要となり、夏に登った経験のある山に行く事が大前提となる。但し夏の行動時間を参考にしない事に注意が必要になる。

ザックは現在手持ちの物を使い分けるというのではなく冬山用には別に準備する事が望ましい。アイゼンは靴の大きさ、形状に合った物を選ぶ。初心者は12本爪を推奨するが、靴のサイズが小さい場合は10本爪となる。そして山行中の休憩時には必ずバンドの状態を確認する事、冬山装備の着脱は必ず手袋をしたまま行う事等のアドバイスが行われた。

ピッケルの用途は6種類あるが、最も大事なのは「歩く際にバランスを保持する事」。形状は2種類あり、初心者は真っ直ぐで長いピッケルが扱い易い。短く曲がっているピッケルは壁面に打ち込み易く設計され登攀に向いている。

ウエアに関しては、ウエアも道具の一つと考える。レイヤリングの例、重要性について詳しく解説が行われた。靴下はショックアブソーバーの役割も果たすので厚手を推奨する。頭部は五感の殆どが集約されている重要な部位なので優先的に守らなければいけない。厳冬期のヘッドレイヤリングについても詳しく解説が行われた。

エネルギー補給に関して一般的に1日に必要なカロリーはおおよそ3000kcalと言われている。枯渇しやすい炭水化物等を適時補給する事が基本だか糖分、塩分、クエン酸の3要素をバランスよく摂取する事が重要である。

保安、安全関連では、雪崩に遭遇した時は速やかに「アバランチ」と叫び周囲に状況を伝える。雪崩被害を防ぐためには集団で固まった形で行動しない事、危険個所に足を踏み入れない事が重要。雪崩は自然現象で起こる以外に人間が引き起こす事もある。雪崩に巻き込まれた時場合の生存率は15分を境に急激に低下し、クリティカル15minutesと言われている。その他注意すべき点として、冬季は日没時刻が早い事、低体温症、凍傷のリスクが高まる事への準備対応が重要である。

最後に飯田講師が持参された、装備品の実物が紹介され、受講生自身が手に取って感触を知り、積極的な質疑応答が行われた。今回学んだ内容をしっかり復習し万全の準備で冬山登山の実地講習に臨みたい。

報告:17270 舘野 洋彰

支部

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