【報告】セミナー「視覚障害者支援登山を知る」
日時:2026年1月29日 19時から20時30分
場所:日本山岳会・本部104号室
参加者16名+六つ星山の会4名=計20名
六つ星山の会より葛貫(つづらぬき)会長、柴田総務部長ほか清水山行部長、岡本総務部員の4名に来ていただき、セミナーを開催しました。
六つ星山の会とは
1982年、視覚障害者を友として互いに助け合いながら山登りを楽しむことを最大の目的として結成されました。会員は今年の1月現在177名、そのうち71名に障害があります。健常者がボランテアとして山登りをサポートするのではなく、「視覚障害者と山をともに楽しむ」みんな同じという考えで、山行参加費は障害、健常の別なく自己負担、交通費、宿泊費等の実費も同じです。事務局は高田馬場の日本点字図書館にあります。
3人が一つのグループ
はじめにパワーポイントの画面を使いながら、柴田総務部長から「見えても見えなくても山は素晴らしい」というタイトルで、どうやって視覚障害者と登山をするのかの説明をうけました。
障害者1名を前と後から挟むように2人のサポーターが縦に連なった3人が一つのグルーとして登ります。
前サポーターは、障害者の前を歩きやすいように登山道を誘導し、段差や足場の状況を言葉で伝えます。前サポーターは絶対に後ろを振り向かないこと。振り向くと後ろの障害者が方向を見失うため危険です。弱視の障害の方には黄色のスパッツや白い布を身に付けるのも有効です。
障害者は前サポーターのザックの後ろに付けたサポートロープを片手で、もう一方の手にストックを持って登ります。
後ろサポーターは後ろから見て、前サポーターが言わなかったこと、とくに足の置き方などを指示し、登山道から外れないように注意します。
危険個所の通過
岩場はサポートロープ、ストックを離して、サポーターの指示する手掛かりや足場を使って3点確保で上り下りします。
幅の狭い登山道や木道は後ろサポーターの指示で進みます。
階段はとくに苦労する場所で、岩場よりも大変ですが、これもサポーターの指示で慎重に上り下りします。
渡渉は岩の位置を伝えるのが難しく、水の中に入る方が安心して歩ける場合もあります。
ほかに登山道の杭、街中の車止め、濡れた鉄製のマンホールも滑りやすく危険です。
視覚障害は1つではない
目の障害には、全盲とロービジョンがあり、全盲にも屋根があるところとないところの明るさのわかる人もいます。ロービジョンにもさまざまな種類があり、ひとそれぞれにちがいます。そこで山行部長の清水さんが3種類のゴーグルを取り出して、どのように見えているのかの体験をさせてくれました。
1は、視野狭窄で両目が極端に狭くて針の穴から見ているようです。見えはするが、首を振らないと見えない。足元はとくに見えづらく歩けません。
2は白内障で片目が白濁した摺りガラスのようで見えません。
3は弱視で片眼がみえなく、弱い視力はあるがとても見えづらいです。
3種類のゴーグルを使い実際に歩いてみた
受講生が2人一組になり、前サポーター役はサポートロープの付いたザックを背負い、障害者役はゴーグルをしてザックのサポートロープを持って歩きました。歩く方向の指示はクロックポジションと言って、時計の文字盤で指示します。直進は12時、右斜め前は2時、右90度は3時、右斜めは10時というように指示を出します。
全員がそれぞれを代わるがわる行ったところで時間終了、とても貴重な体験することができました。
安心して歩けて、おしゃべりできる
最後に総務部員の岡本さんに六つ星山の会に入ってよかったことを聞きました。ちなみに岡本さんは視力障害があります。
「私は左目を失明していて、段差がわかりません。とくに登山道を降りる時は怖くて歩けませんでした。ところがサポートロープを握って歩くと安心でき、高いところからの下りも、トンと降りられます。
また、なんといっても信頼できる人たちと思いっきりおしゃべりできることが一番良かったことですね」
とのことでした。
六つ星山の会のみなさま本日は、貴重なお話と体験をありがとうございました。
記:12207飯田邦幸



