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公益社団法人日本山岳会

【報告】 初級者講習会・机上「山のファーストエイド=実践的対応法(含む低体温症・凍傷)」

【報告】初級者講習会・机上「山のファーストエイド=実践的対応法(含む低体温症・凍傷)」

日時:2026年1月20日(火)19時00分~21時00分

場所:日本山岳会・本部 104号室

講師:原田智紀氏(日本山岳会・常務理事・医療委員会、日本大学医学部・准教授、日本登山医学会・専務理事)

受講者:30名(会員・準会員14名、一般13名、オンライン3名)

今回の机上講習では、原田講師による「山の救急医療-山でのケガの実践的対応法(含む低体温症・凍傷)」を開催した。日帰り登山に加えて夏山の縦走を行う国内登山を主な対象としたとても実践的な講義であり、会員や一般参加者を含む多くの受講者が熱心に受講した。

 まず始めに、今回覚えてほしいこととして「コースタイムが予定よりも2倍かかっている場合は登山中止」、「痛くない姿勢で固定してあげましょう」、「ケガした時に血が出るのは当たり前:そんなに驚かないで」の3点が挙げられた。また、最近の登山と昔の登山の大きな違いはスマートフォンの普及により、インターネットの使用が容易、GPSが利用できる。つまり、気象情報が簡単に入手でき、自身の位置情報(場所)がすぐ分かることで、天候による事故の回避や救助要請の大きな助けになっていると説明された。

 具体的な応急処置については、止血の方法や使用する道具の紹介、骨折の際の固定方法の説明がされ、手首の骨折では添木や三角巾、サムスプリントなどの代用として、シャツの裾やレジ袋を利用した現場で役立つ実践的な固定法が紹介された。また、二人一組でテーピング法も練習した。手首、足首に簡単に巻けるが、想像以上にしっかり固定されることに驚いた。

 体調不良の面では、山で起こりやすい疾患として熱中症、低体温症、急性高所性疾患の3つが挙げられた。誰にでもなる可能性がある病気であるが、問題はなっていることに気がつかないことである。全身を覆うためにはエマージェンシーシートが3枚必要なことや、古いシートはアルミが劣化をしている恐れがあると指摘された。

終盤では凍傷についても取り上げられ、手のひらの筋肉を動かして血流を送り指を温めるといった具体的な方法や、寒いと思ったら我慢せずにすぐ着る、痛いと思ったら直ぐに対処するなど雪山での鉄則が紹介された。

 登山中の体調不調や怪我を仲間への遠慮から我慢してしまうことは、結果として大きな事故を招く恐れがあり、また仲間の変化に気づき指摘することが必要である。本講習は、日頃の備えや復習の重要性を再認識する非常に内容の濃いものであった。

報告:16391 若林優子

東京支部

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